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雪は「ハンデじゃない」 北海道ジュニアゴルファーの“冬事情”

2023/07/23 14:15
ラウンド中に清水大成(左)からアドバイスを受けた

ジュニアゴルファーの支援などを手掛けるThe Dream Project 実行委員会が20日、北海道の恵庭カントリー倶楽部・支笏コースで「The Dream Project スキンズマッチ~Be Ambitious Cup~ supported by ファイネストコーポレーション」を開催した。

イベントには北海学園札幌高のゴルフ部に所属するジュニアゴルファー12人も参加。スキンズマッチに出場した河本力清水大成成田美寿々北田瑠衣のキャディや、キャリングボードを運ぶなどして運営をサポートした。また、スキンズマッチ中に設けられたコーナー「スキルズチャレンジ」では、プロと協力してドライバー、アプローチ、パッティングの課題に挑戦した。

プロジェクトに参加した北海学園札幌高のゴルフ部の生徒ら

北海道は夏に快適な気温でプレーできる反面、冬は降雪の影響でほぼ全てのゴルフ場がクローズとなる。道内のジュニアゴルファーは実地練習が困難となる冬の間、どのようにしてスキルを磨いているのか。

同校出身者として初のプロゴルファーとなった内田ことこを入学当初から指導していた顧問の能代谷兼大(のしろや・けんた)教師と、須田樹(すだ・いつき)教師に話を聞くと、冬季はランニングやウエイトといった基礎的なトレーニングに注力していると話す。「環境的に本物のボールを打つことが難しいので、室内でスポンジボールなども使います」。本州のゴルフ場に遠征して合宿を行う年もあり、また、近隣の室内練習場が休館日の際に使わせてもらうなどして、生徒のモチベーションを保つための工夫をしているという。

能代谷さんによると、学校がある札幌市周辺のゴルフ場は11月中旬から4月中旬まではクローズ。函館市などの道南であれば3月中からラウンド可能なコースもあるというが、「その時期でもまだまだ寒いですし(距離的にも)足を伸ばすのがなかなか難しいですね…」。札幌市から函館市まで車で向かうとなれば、高速道路を利用しても4時間以上を要する。広大な北の大地では移動だけでも一苦労なのだ。

2年生の信田陸人さん。「スキルズチャレンジ」ではプロ4人の前でパッティングに挑戦した

雪が滅多に降らない地域の学校と比較すると、決して恵まれているとは言えない環境。それでも、内田や小祝さくら菊地絵理香片岡尚之といった北海道出身者がツアーの第一線で活躍しているのもまた事実。「内田もそうだったんですけど、短い時間の中で貪欲に、集中して練習していました。余計なことを考えることなくやっていましたね」と能代谷さん。短い時間だからこそ、効率の良い練習となるよう自ら考えて取り組んでいたという。

今回のプロジェクトの発起人であるプロキャディ杉澤伸章氏は「限られた環境であっても、その中でできることは絶対にあると思います。例えば、雪が降って外に出られない。じゃあ室内でトレーニングや別の競技をしたり、外でスキーをしても良いと思います。そういったことで自分の身体を鍛えたり、競技での勝ち負けの経験も積める。環境を変えるというよりも、与えられた環境の中で自分ができる100パーセントを探してほしいですね」とメッセージを送った。

次期部長に指名されている2年生の信田陸人(しのだ・りくと)さんは「トレーニングをすることで飛距離を伸ばせたり身体作りもできるので、一概に(雪が)ハンデだとは思っていません」と力を込める。「どの地域でもオフシーズンは絶対にあると思うので、そう考えると自分たちが大きなハンデを背負っているわけではないと思います。(身体作りやスイング作りに)100パーセント集中できるので、雪が降らずにあやふやになるよりかはそっちの方が良いですね」。一見、不利と思える環境をプラスに変えるそのマインドが、強さの秘訣なのかもしれない。(編集部・内山孝志朗)

河本力も懇親ラウンドで高校生と交流した
パッティングを決めて丸山茂樹とハイタッチ