オーガスタで実現した復活と感動 2019年ベストショット3選【中野義昌】
2019年も、緑の芝の上でさまざまなドラマが生まれた。光と影、風を感じながら、フォトグラファーたちは二度と繰り返されることのない瞬間を切り取ってきた。GDOとともに国内外を渡り歩いたプロフェッショナルが選んだ今年の3枚。第1回は中野義昌カメラマン編。
<マスターズ 最終日 タイガー・ウッズ>
そう言えば…昨年の「ベストショット3選」でタイガーの写真を選んで、「久々のメジャー制覇も!」と書いていたことを思い出した。そして、まさかそれが現実に、しかも自分の目の前で起こるなんて思ってもいなかった。
優勝を決めた瞬間のガッツポーズの写真も感動的だったけど…。スキャンダルやケガに苦しみ、“もうタイガーはダメだ”なんて言葉も多くあった中、復活を信じ、そばで支え続けて来た家族との抱擁は、何よりも本当に感動的なシーンだった。
<日本プロゴルフ選手権 最終日 石川遼>
7月に九州南部を襲った豪雨により、開催地の鹿児島県指宿市では避難勧告が出ていた。現地にいる誰もが「この状況で試合を行うべきなのだろうか?」と思っていたに違いない。大会初日は中止になったが、日曜日に36ホールをラウンドし、何とか72ホール完走することができた。
プレーオフを制して、カップを掲げた遼くんの表情には、自身3年ぶりの復活優勝を喜ぶと同時に、とにかく試合が無事に終わったことへの安堵が浮かんだように思えた。試合が終わった翌日の鹿児島は、また豪雨だった。全てが奇跡的な3日間だった。
<デサントレディス東海クラシック 最終日 渋野日向子>
最終日は8打差を追ってのスタート。16番パー3では奇跡のチップインバーディ! 日本のツアーで、こんなに選手とギャラリーに一体感を感じる写真を撮ったのは初めてかもしれない。
渋野さんの人気の理由の一つに、まるでギャラリーも一緒に戦っているかのような雰囲気に引き込まれるところにあるのではと、いつも感じる。ホールアウト後、天候をも味方につける神風が吹いた。後続組は突然の強風に苦しみ、スコアを伸ばせなかった。「やっぱりシブコはモッてるわ」と思った。