田中秀道、手応えの復活V
1999/11/07 18:00
勝ったらリハビリ完了と言っていた田中秀道。最終日も危なげないゴルフでスコアを伸ばした。終盤16番、18番はボギーとしたが、もうこの時点では勝負の行方に無関係の展開だった。結果的には深堀圭一郎に5打差。11カ月ぶりのツアー勝利で秋の3連戦に向けて確かな手応えをつかんだ。
今年、開幕前、実は敬愛していた祖父「おじいちゃん」が亡くなった。いつも自分を見守ってくれている、と感じられる人だった。男はかくあるべきと教えられることの多い祖父だった。去年の暮れに「お前も勝負強くなったな」と言ってくれた。ズッシリ、重く感じられる言葉だったという。
「おじいちゃんに誉められることがずっと目標でした。開幕してすぐにでも優勝して喜んでもらおうと密かに誓ったのにカラ回りして、おまけに故障してしまった。今回の勝ちも見守ってくれていたと思う。ようやく答えを出せたような気がします」
ニクラス設計の石岡CCは難しかった。漠然と攻めることができない。点へ打っていく戦略が必要だ。「好スコアと悪スコアが紙一重のコースです。うまく攻略できてよかった。楽しかったです」
リードを持ってスタートした最終日だったが、内心はかなり緊張していた。スタートホールでは打順を間違いかけるほどだったという。「二つ目の9番のバーディがポイント。あとは11番12番のバーディも手に汗をかかないで打てました。この優勝を契機に、次の次元での優勝ができるようになりたいです」
次の次元とは「おじいちゃんの見守り」ではない、自分の力での優勝だという。それが「だらだらするな。男はしっかりと芯を持て」と言っていた祖父への恩返しかもしれない。