石川遼が今季初勝利! 最年少で通算10勝目に到達
◇国内男子◇三井住友VISA太平洋マスターズ 最終日◇太平洋クラブ御殿場コース(静岡県)◇7246ヤード(パー72)
2シーズンの間、石川遼から遠ざかっていたタイトル。久しく感触を忘れたカップを手にしたのは、やはり2年前に最後の優勝を飾っていた御殿場だった。7バーディ、3ボギーの「68」で回り、2位に1打差の通算15アンダー。節目となるツアー通算10勝目を、待望の今季初勝利で飾った。21歳1ヶ月24日目での10勝到達は、先月の「キヤノンオープン」で池田勇太が記録した26歳9ヶ月16日を抜いての最年少記録。さらに、生涯獲得賞金6億円突破も同じく最年少での達成となった。
前半から後半にかけてはショットが抜群の切れ味を見せて盤石のプレー。前半で2つ伸ばし、さらにサンデーバックナイン入り口の10番から3連続バーディ。最大4打差までリードを広げた。その後は3つのボギーを叩いて後続に詰め寄られたが、苦しい終盤を辛くも逃げ切った。
通算14アンダーの単独2位に、最後まで粘りを見せた松村道央。通算12アンダーの単独3位に藤本佳則が入った。3打差を追ってスタートしたアマチュアの松山英樹は、前半の伸び悩みが悔やまれる展開に。後半に4つ伸ばす意地を見せたが、ハン・リー(米国)と並んで通算11アンダーの4位タイに終わり、史上初のアマチュア連覇は叶わなかった。
<胸を張って米ツアーへ!石川遼が2年ぶりV>
降りしきる雨の冷たさは、もう感じなかった。「あの距離でも手が震えた感じは今まで無かった。10センチのパットでも、あんなに難しいパットはなかった」。最終18番(パー5)。残り228ヤードの第2打を5番ウッドでピン手前6メートルに2オン成功。1打差に迫ってきた松村が13メートルのイーグルパットを惜しくも外し、2パットで勝利が決まる場面。その短いバーディパットを沈めると、空を見上げ、長く、長く息を吐いた。
「(勝利の無かった2年間で)意外と今日が一番つらかったかもしれない」。節目の通算10勝目は、2年分の成長と苦悩が存分に詰まっていた。序盤からショットが安定し、3番(パー5)でグリーン手前のバンカーからピンそば20センチにつけて最初のバーディ。6番(パー5)で2つ目を奪うと、後続に2打差をつけた。インコースに入った直後、勢いは加速。10番では第2打をピンそば80センチにつけ、11番(パー5)は残り225ヤードの第2打を5番アイアンで2オンさせた。さらに12番ではフェアウェイ右サイドからピン左2メートルにつけ、3連続バーディ。磐石の態勢を整えて最終コーナーを回ったかに思われた。
ところが15番で松村に4打差を付けた直後、16番からショートゲームのミスが相次ぎ2連続ボギーとして、1打差で最終ホールへ。「松村さんのイーグルパットが外れたときは正直、ホッとした」。目標としていた通算16アンダーには1ストローク届かず、悔しさもにじませたが「今週はラフから打つ機会も少なく、ショットとパットの噛み合わせが良かった」と、最後は涙まじりの笑顔で万雷の拍手に応えた。
日本時間12日(月)には米国男子ツアーのシーズン全日程が終了し、今年度の賞金ランキングが確定する。来季のシード権を獲得できる125位以内の確保は決定的。「(1勝で)すべて自分の捉え方が変わる。落ち着いていられるというか、優勝は最高の薬、自信を与えてくれる薬です。自信を付けてアメリカにいけるんじゃないかと思うし、さらに(今季)残り3試合で自信を付けたい」。胸につかえていた1勝への想いは、ようやく晴れやかになった。石川遼は勇んで、新たなステージへと向かう。