チームは勝利も 石川遼、終盤の粘り及ばず自身は敗戦
ブルネイのエンパイアホテル&CCで開催された「ザ・ロイヤルトロフィ」最終日。アジア選抜がプレーオフで欧州を破り、3年ぶりのタイトルを獲得したが、石川遼はシングルスマッチプレーでヘンリック・ステンソン(スウェーデン)の前に1ダウンで敗れた。
出だしの1番から3連続バーディを奪ったステンソンに対し、石川は序盤から劣勢の展開を強いられた。「前半は思い切りがなくて、ボールをなでていた」。3ダウンから流れを変えられないまま迎えた9番では、2メートルのバーディチャンスにつけながらも、相手は10メートル以上のバーディパットを沈めて“帳消し”とするほどの好調ぶり。それでも後半インでは、14番、17番と自滅するのを横目に、石川はパーを並べて我慢。なんとか17番で1ダウンに戻し、最終18番に勝負を持ち込んだ。
しかしそのティショットは左のペナルティゾーンを警戒し、右サイドのフェアウェイバンカーへ。是が非でもバーディが欲しいホールでパーオンを逃し、この最終ラウンドはチームの勝利に貢献することは出来なかった。
歓喜に沸く仲間の中で、チームの勝利への喜び、一方で敗れた自身への不満。試合後はそれらが入り混じった表情を見せた。それでも「もちろん両方の気持ちがあるけれど、正直言ってチームが勝てればよかった。本当にすごく嬉しい。こういう形で終われてよかった。ほとんどの選手がワールドランキングで欧州のほうが上。その中で勝ったのは、今までのロイヤルトロフィの中でも一番すごいと思う」。一方で2日目終了時点から相手の8人の代表選手の中で最も警戒していたステンソンを「やはり隙がなかった」と讃えた。
1月の米国男子ツアー「ソニーオープンinハワイ」から始まったプロ5年目のシーズン。公式戦はこれが最後となった。しかし「今回も試合を通して新しいことに取り組んだ。一年の集大成として臨んだわけではなく、来年に向けてという気持ちもあった」と息をつくつもりはない。年明けからはいよいよPGAのツアーメンバーとして本格参戦。次の戦いに向け、すぐに顔を上げる。(ブルネイ・バンダルスリブガワン/桂川洋一)