チームは敗退・・・遼、笑顔なき会心の勝利
「ザ・プレジデンツカップ」最終日は、米国・世界両選抜チーム12人ずつによるシングルス戦。石川遼の相手は、初日、2日目とダブルス戦で連敗を喫した宿敵、バッバ・ワトソン。4ポイント差からの逆転を目指し、まずは自らの任務を全うすべく3組目からスタートを切った。
「体の動きは朝から良かった」という石川は、スタートホールこそワトソンにバーディを奪われ先制を許すが、直後の2番(パー5)では2オンに成功。バーディを奪い返してオールスクエアに戻す。さらに3番(パー3)ではワトソンのミスに乗じて1UPのリードを奪うと、以降は世界ランク17位と格上のワトソンを圧倒する。
「大事なところでパットも決められたし、いいモチベーションでできた」。5番で2UPとすると、6番では1.5mのバーディパットを沈めて3UP。その後は一進一退の攻防が続くが、13番では6mを沈めてバーディを奪い4UPに。右手を突き上げる大きなガッツポーズを見せ、勝利を確実なものにした。
最終的には3UPで迎えた16番を分け、3&2と磐石の勝利。平均飛距離320ヤードの飛距離を活かせず小技で苦しんだワトソンを一蹴した。しかし、チーム全体では6勝6敗と互角に終わり、総合成績でも19ポイント対15ポイントと差を詰めるには至らず。「チームが負けてしまったので、勝ったからといって満足感はありません」と、自らの勝利に表情を緩めることはなかった。
それでも、前半戦の不調を吹き飛ばすような会心の勝利に手ごたえを感じているのも事実。フェアウェイを外したのは僅かに1度、パット数も24に抑え、日本で躍動する姿そのものだった。「自分のプレーは本当に良かった。日本に帰ってからも頑張れるような内容だった」。帰国後は、休む間もなく「カシオワールドオープン」に出場。国内ツアーも残すところあと2戦、賞金ランクトップを独走するベ・サンムンを約6,450万円差で追う厳しい戦いに身を投じる。(メルボルン/塚田達也)