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プレーヤーズラウンジ

<本日開店、池田ツーリスト!? 池田勇太の意外な特技>

さてさっそくですが問題です。写真のこの真っ白いお尻の持ち主はだ~れだ・・・!? ちなみに撮影の場所は、大型観光バスのトランクの中。だけど運転手さんではありません。時は韓国釜山で行われた日韓対抗戦「KBミリオンヤードカップ」は3日間の熱き戦いを終えて、選手団が帰国の途についた7月4日は月曜日の朝の出来事でありました……。

この日はまだ、集合時間は20分以上も前というのにオフィシャルホテルの「パラダイスホテル」の玄関先で、仁王立ちしている選手がいた。我らが若大将、池田勇太だ。そして他の代表メンバーや、関係スタッフが出てくるたびに、鋭いにらみを利かせながら「荷物そんだけ?」。数を確認するなり「こっち、積んどくよ!」と、めいめいのスーツケースをひったくり、低く身をかがめたかと思うと、あっという間に写真ような光景となった。

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チェックインを終えた人がホテルから出てくるたびに、そうやっててきぱきと荷物を積み込んでいく。逐一、収納状況を確認しながら、1台目が満杯になったら数10メートル先に停まっていたもう一台のバスまでガラガラと運び、整然と収納していく。あまりの手際の良さに、周囲もあっけにとられて唖然呆然…!!

と、最後に一つだけスーツケースが積みきれなくなった。トランクの前で、しばし腕組みをしていた池田。気を利かせるつもりでバスの前を右往左往していたスタッフを制して「どいて!」と一喝すると、たちまちトランクの中に潜り込み、池田がわざわざ日本から持ってきたという巨大なトレーニングマットを引きずり出した。その際にマットのカバーがどこかに引っかかり、ビリビリと避けた音がした。だが「問題ない」と顔色ひとつ変えず、あぶれていた他の選手のスーツケースを積み込んだ。かわりに自分のマットはほんのわずかな隙間にギュウギュウと押し込んで「これで完璧」。

本来ならば、マネージャーやキャディに任せても良い仕事である。「でも勇太は自分でやらないと気が済まない」と証言したのは専属キャディの福田央さんだ。それはどこに遠征してもそうだそうで、「みんな揃った?」と、これまたなぜか池田が点呼を取って、いざバスが出発すると、まるで添乗員よろしくちゃっかりと、バスの一番先頭の席を陣取っている。

空港に着くなりいち早くバスから飛び降りていった池田は、颯爽とどこかに消えた。しばらくして矢のような勢いで戻ってきたその手には、どこからか仕入れてきたカートが。そこにキャディバッグやらなにやら、あっという間に積み上げて「行くぞ!」と気合の入った一声で空港カウンターに並ぶと、福田さんやらトレーナーさんのパスポートをこれまた池田が手際よく回収して、まとめてチェックインの手続きを始めてしまうという周到さである。

「ホント、まるで“池田ツーリスト”だよ」と福田さん。「そこらの旅行者の添乗員よりも頼りになるよ」と周囲も苦笑している間に重量オーバーの荷物の精算もすっかり済ませ、ドヤ顔で戻ってきた池田は「さ、けぇるぞ(帰るぞ)!」とどこまでも威勢よく、肩で風切って帰国の途についたのであった。

学生時代から、面倒見の良さは評判だった。今年は4月のマスターズトーナメントでも、東北福祉大の後輩の松山英樹さんにつきっきりで、あれこれ世話を焼いていたという。その松山さんが予選突破を果たし、池田は予選落ちという皮肉な結果には、監督の阿部靖彦さんが「申し訳なかった」とあとで池田に詫びたというエピソードもあるが、監督に頼まれなくたって、池田は松山さんの面倒を見ていたはず。そして、予選落ちしたことを絶対に人のせいになんかしない。池田勇太とは、そういう男だ。韓国から帰国直後の選手会による被災地訪問でも、骨身を惜しまぬ池田の働きぶりが光っていた。

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