2015年 ザ・メモリアルトーナメント
期間:06/04〜06/07 場所:ミュアフィールドビレッジGC(オハイオ州)
連覇へ松山英樹が首位スタート 土壇場での練習と決断が奏功
貫録のスタートだ。米国男子ツアー「ザ・メモリアルトーナメント」が4日(木)、オハイオ州のミュアフィールドビレッジGCで開幕。大会連覇を目指す松山英樹は8バーディ、ノーボギーの「64」をマークして、8アンダーの首位タイで発進した。
歓喜のツアー初優勝から1年、松山は当地で再び主役になった。スタートの1番で2.5mのパーパットを沈めると、続く2番から立て続けに2打目をピンそば3mに絡めて2連続バーディ。スピードのあるグリーンを着々と攻略し、9番までにさらに2つスコアを伸ばした。
<< 下に続く >>
「前半4アンダーで、これをキープできたらいいと考えていた」が勢いは止まらない。UTで2オンに成功した11番(パー5)で5つ目のバーディ。続く12番(パー3)では8Iでの第1打をピンそば2mにピタリ。13番では6mのフックラインをカップに流し込んだ。14番では第2打を、ロフト50度のウェッジでグリーン左からの下り傾斜を使ってピンそば1mにつけて4連続バーディを決め、あっという間にトップを捕らえた。
ラウンドを通じてショットが冴え、フェアウェイキープ、パーオンを逃したのはともに1ホールだけ。両サイドの深いラフを淡々と避けて、ピンを攻めた。フィル・ミケルソン、リッキー・ファウラーといった米国の超人気選手との同組にはギャラリーが大挙。「なんで自分がディフェンディング(チャンピオン)なのに、一番歓声が少ないんだろう…と、不思議な感覚で1番ティでのコールを聞いていた」というが、圧巻のバーディラッシュを見せる松山への拍手は、ホールを進めるごとに大きくなった。
2週間のオフを経て前週末に当地入りしてから調子は下降。「スタートの時は不安だった」というが、このロケットスタートも、寸暇を惜しんで練習する毎日が生んだ“粘り勝ち”だ。
開幕前日、報道陣に「調子が悪すぎる」とこぼした、ありったけの弱音は紛れもなく本音。その後、会場内で参加したレッスンイベントのまでの2時間を、ドライビングレンジでの打ち込みに費やした。怒りでクラブを折るような素振りも交えながら、契約するダンロップスポーツの担当者を呼んだ。「アイアンを替えてください」――。
3週前の「ウェルズファーゴ選手権」で投入した新しいアイアンを、急遽それ以前に使っていたセットに戻した。モデルと見た目の形状は同じだが、角度など細部がわずかに違う。「練習の最後の方で、少しいい感じに振れてきた」と、ほんのわずかな光を見出していた。
ラウンド後の会見では現地メディアから「コーチはいないのか?」と問われ、こう答えた。「だから調子が悪い期間が長いけれど、ただそうやって(解決策を)考えるのもイヤじゃない」。最近ではタイガー・ウッズらを指導したショーン・フォーリーなど、プロコーチに意見を請うこともあるが、あくまで頼りは自分自身の感覚。まだ23歳。苦しみのプロセスも楽しみのひとつだ
「日にちが経つにつれてどうなるか分からないが、今日のように振れれば上位にいられる」。手応えの先にあるもの。連覇への道筋が開けてきた。(オハイオ州ダブリン/桂川洋一)