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東北福祉大と日体大の主将が抱擁 中島・蝉川連続Vに日大キャプテンは

◇国内男子◇パナソニックオープンゴルフチャンピオンシップ 最終日(25日)◇小野東洋GC(兵庫)◇7113yd(パー72)

新たなスター候補が芽吹いた。蝉川泰果(東北福祉大4年)がツアー史上6人目のアマチュア優勝を成し遂げた。来年3月に大学卒業を控え、年内のプロ転向を目指している。

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始まりは「トイザらス」

1歳で、すでにプラスチック製のゴルフクラブを握っていたという。シングルプレーヤーの父・佳明さんが大手玩具量販店「トイザらス」で見つけ、蝉川はアンパンマンやばいきんまんがデザインされたクラブで無邪気にボールを突いて遊んだ。

そのうちボールの勢いが増し始め、狭い部屋の中で打ったボールが佳明さんの頬などに当たるようになった。場所を練習場に移動し、おもちゃのクラブを振り回し続けた。「お父さんが真剣にゴルフをしていた時。壊れて泣きわめいて、7セットぐらい買い直しに行ってくれたみたいです」。保育園に通い出すと、ジュニア用のクラブに持ち替えた。

「いい勘違いができる」中島啓太の存在

「啓太は、みんな『写真撮ってください』くらいの選手です」。蝉川と、アマチュアの世界ランキング1位から今大会を前にプロ転向した中島啓太は2000年度生まれの同学年。前年大会で史上5人目のアマチュア優勝を果たしており「世界ランキング1位で勝ってもらわないと。やっぱりそうなんや、と僕としてもいい勘違いができる。1回でも啓太に勝てば、少しは上達したのかなと見られるかなとか」と畏敬の念を込める。

今年4月の「関西オープン」で優勝争いに食い込み、「プロを意識し始めました。決心が固まったのは最近。1月、2月は葛藤している中で、本気でやり切ろうと思えたのはあの関西OPでした」。名前の由来はタイガー・ウッズで、幼いときから「プロゴルファーになる」との思いは抱いていたが、プロの世界で“戦えた”経験は自信に結び付いた。

そして、中島と同じ頂に立った。後続に2打差をつけて迎えた最終18番で、グリーンそばに中島の姿が見えた。首位タイで3日目を終えて「あしたはグリーンサイドで待っているから」と声をかけられていた。「冗談半分かと思ったけど、グリーンに上がるときに啓太の姿が見えて」。優勝が決まり、抱擁したときは涙が止まらなかった。「追いつきたかった。ついていくだけではなく、追い越したい気持ちもある。いつか抜かしたいな、と」。ライバルと肩を寄せ合いながら、「できるとは想像していなかった」学生優勝に歓喜した。

悔しさと負けん気から強さの連鎖へ

2人の姿を少し離れたところで祝福しながら、日大ゴルフ部主将を務める古川龍之介は悔しさをかみ締めていた。初日は「68」で2人より上位の4アンダー11位で滑り出したが、最終的に通算9アンダーの41位で終えた。東北福祉大(蝉川)と日体大(中島)の両主将が抱き合う場面に合流することはできなかった。

「悔しいですけど、自分の中では少しずつ手応えは感じてはいる。まずはQTを頑張って、先輩たちのいるこの舞台に立って勉強を一からやり直さないとな、と思います」。負けん気の連鎖がそこにある。 (兵庫県小野市/石井操)

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