2023/03/22テーラーメイド特集

カーボンフェースの軽さが生み出した飛びとやさしさの秘密

飛距離を追い求めるのはゴルファーならば誰でも同じ。「飛ばしよりもスコアが大事」と口にはしても、「飛ばなくていい」と思っている人はほとんどいないだろう。だからこそ、クラブメーカーは飛ぶクラブの開発に力を入れ続けている。 飛びの3要素は、「ボール初速」「打ち出し角」「バックスピン量」。なかでもボール初速は、2008年以降、フェースの反発係数を規制したルール(SLEルール)が定められてからも、さまざまなテクノロジーで初速アップを実現している。 反発係数の規定値を逆手に取った逆転の発想 飛びの3要素のうち、打ち出し角とスピン量は、適正な範囲があり、高ければいい、少なければいいというものではない。しかし...
2023/03/06フジクラ特集

復活期す永峰咲希 クラブもシャフトも座学から

国内女子ツアーの新シーズンが開幕。今年も熱き戦いが始まった。そんななか、復活を期す選手のひとりが、ツアー2勝の永峰咲希だ。2020年に「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」でメジャー初制覇したものの、昨シーズンはトップ10入りが1度だけと、苦しいプレーが続き、メルセデスランキング65位でシード陥落。今年はメジャー優勝で得た3年シードを行使してのツアー参戦となる。 4月で28歳。若手ゴルファーの躍進が続く現在のツアーの中では“ベテラン”という言葉もちらつき始めるが、まだまだ進化の過程。スイング、コースマネジメント、クラブ・シャフト選びなど、さまざまな面で新たな知識を吸収し、強さを取り戻そうとして...
2023/02/24キャロウェイ特集

飛びとやさしさ「どちらも100点」 高次元両立の裏側に迫る

ドライバーに求められるものといえば「飛び」と「やさしさ」。極端に言えば、飛ばすためにはフェースを固定したヘッドの前が重い方がいいし、やさしくするには後ろが重い方がいいそうだ。相反する2つを両立させるのは不可能というのが開発の定説だったが、キャロウェイゴルフは「両方とも100点満点」のクラブをつくり上げた。ヘッドに採用した業界初の新構造ボディーに加え、2019年から導入して以来、さらなる進化を遂げたAI技術によって弾き出し、具現化が可能になったのだという。 そもそも「やさしさ」って何だ? 2023年になって新ドライバーを投入して早くも3勝を挙げたジョン・ラーム(スペイン)。PGAツアーでの平均...
2023/01/18ダンロップ特集

山下美夢有の史上最年少年間女王をサポートした“立役者”

2022年国内女子ツアーでメジャー2勝を含むシーズン5勝を挙げて史上最年少の21歳103日で年間女王に輝いた山下美夢有。序盤の不振から抜け出して勝利を積み重ねた陰には、中学生時代から愛用するメーカーであるダンロップへの厚い信頼、さらにシーズン途中で実戦投入した新ドライバーがあった。 今年は海外挑戦にも前向きで未知の舞台でも心強いサポートと相棒が支えとなる。 3週連続予選落ちで気持ちの浮き沈みもあった ダンロップのプロサポート担当者から「クラブは大丈夫ですか?」と聞かれたのは、「KKT杯バンテリンレディス」から3試合連続で予選落ちを喫した4月が過ぎたころだった。3月の開幕戦こそ4位でスタートした...
2022/12/26ダンロップ特集

新ドライバーでも松山英樹の信頼を得たツアーレップの次なる願い

オーガスタの歓喜に酔いしれた2021年春、「マスターズ」を制したダンロップ『スリクソン ZX5 ドライバー』は市場でたちまち人気を博した。 しかし松山英樹の戦いの終わりがそこでないように、住友ゴム工業(ダンロップ)の製品開発に燦然(さんぜん)とピリオドが打たれたわけではなかった。むしろ、それも通過点だったと言える。グリーンジャケットに日本人が初めて袖を通したあの日、時を同じくして、すでにニューモデルの開発は始まっていた。 『スリクソン』史上最速モデル 2年半前に外資系クラブメーカーから同社に移ったツアーレップの宮野敏一(敬称略、以下同)は、PGAツアーの契約プロに寄り添い、クラブやボールを提供...
2022/12/21ダンロップ特集

ツアーレップが見た松山英樹が「スリクソン」で快挙達成するまで

テレビ画面の向こうの光景を、現実と捉えるまでには少し時間がかかった――。 2021年4月、日本は新しい週の朝を迎えていた。「いまだに信じられないような気持ち。本当に…こんなことがあるのかなって」。松山英樹が母国に初めて男子メジャータイトルをもたらした「マスターズ」。抱えてきた思いは、涙になってあふれ出た。 プロゴルフを支える多くのスタッフの中に、“ツアーレップ”と呼ばれる人々がいる。日本全国、世界各国で行われるゴルフトーナメントに足を運び、プレーヤーに自社メーカーのクラブやボールを供給したり、会場内で調整したりする“職人”たちのことだ。住友ゴム工業(ダンロップ)の宮野敏一(敬称略、以下同)は、...
2022/12/16HONDA特集

ゴルフがもっと楽しくなる? 大手自動車メーカーの描く未来像

近年のクルマ作りにおいて、世界各国のメーカーはさまざまな種類のモデル開発を進めている。時代の流れとともに消費者ニーズは変わり、ライフスタイルや価値観の多様化によってクルマに求められることも変化してきた。それは、ゴルファーのクルマ選びも例外ではないだろう。 そのような状況下で、本田技研工業(ホンダ)が11月17日に発表した新型SUV(スポーツ用多目的車)には、“ゴルファーが自信を持って朝イチのティイングエリアに立てる”という期待が込められているという。それはどのようなモノなのか。同社開発戦略統括部の河口展之(かわぐち・のぶゆき、以下敬称略)チーフエンジニアに聞いた。 変化しつつあるクルマ作りのテ...
2022/12/15日本シャフト特集

ゴルフ中心から解放されたプライベート 一時代を築いたカリー・ウェブのいま

競争の激しいプロゴルフの世界で、長期に渡り最高峰の舞台で活躍し続けるのは並大抵なことではない。技術を磨き、日々のトレーニングで体を作り、食事にも自ら制限を加える。米女子ツアーにおいて、初優勝した1995年から20年間で通算41勝。3度の賞金女王に輝き、メジャー通算7勝の実績を誇るカリー・ウェブは、長くそんな生活を続けてきた。 第一線を退いたことで、ライフスタイルはどのように変わったのか? 女子ゴルフ界のレジェンドが、現在の日常と今後の活動について明かした。 ツアー転戦から離れて変わったこと 現在のウェブがトーナメントでプレーするのは年に数試合。47歳で迎えた米ツアーの2022年シーズンは3...
2022/12/13テーラーメイド特集

米国仕様との違いは? 日本向けにこだわる「グローレ」開発秘話

米国の一部クラブメーカーは、世界で展開するグローバルモデルのほかに日本市場に向けたモデルを送り出している。米国と日本において、ゴルファー個々の体力やスイングのほか、クラブ性能の好みが異なることがその理由だ。 常に最新のテクノロジーを投入し、ゴルフクラブの世界をリードしてきたテーラーメイドも、2012年に日本オリジナルブランドを立ち上げた米クラブメーカーのひとつ。同社日本法人のハードグッズプロダクト・シニアマネージャーを務める柴崎高賜(敬称略、以下同)に誕生の経緯やグローバルモデルとの違いを聞くとともに、シリーズ10年間にわたる進化の系譜をたどる。 日米で好まれるクラブ性能の違い 米国仕様のクラ...
2022/12/05テーラーメイド特集

カーボンの可能性を求めて メタルウッド開拓メーカーの次なる挑戦

1979年創業のテーラーメイドはメタルウッドの元祖。ヘッド素材にステンレスを採用した「ピッツバーグパーシモン オリジナルワン」、「ツアープリファード」といった初期の名器たちが、長らく続いたパーシモンの時代に終止符を打った。主流はステンレスからチタンに変化したものの、広い意味では今もメタルウッドの時代が続いている。 そして、真っ先に脱チタンを掲げたのもまたテーラーメイドだった。2022年の最新モデルからドライバーのフェースにカーボンを採用した開発の経緯と、カーボンの可能性を深掘りする。 木製から金属製 そしてカーボンへ 木製のパーシモンから金属製のメタルへ。ドライバーの性能は、ここで大きな飛躍を...
2022/12/05日本シャフト特集

カリー・ウェブが語るクラブのこだわりと日本文化へのリスペクト

メジャー通算7勝、3度の米女子ツアー賞金女王など、カリー・ウェブは女子ゴルフ界のレジェンドと呼ぶにふさわしい実績を残してきた。現在は第一線を退いているものの、47歳で迎えた2022年シーズンは米女子ツアーで3試合に出場し、チーム戦の「ダウグレートレイクスベイ招待」(15位)を含めて2試合で予選通過。長くゴルフファンを魅了するプレーを支えてきたクラブへのこだわりには、日本への特別な思いが秘められている。 契約フリーを貫き続けたクラブ選び 今年7月、ウェブは久々に長年のライバルとのマッチレースを演じた。「全米女子プロシニア選手権」でアニカ・ソレンスタムを4打差で振り切り、シニアツアー初優勝を遂げた...
2022/12/01ダンロップ特集

人気ブランドが本格始動に入ったリブランディング戦略とは

ブランド発足から20年となる2019年冬、住友ゴム工業の「ゼクシオ」が「Re-Branding(リブランディング)」宣言を行った。時代の変化とともに、楽しみ方や求めるものが多様化した今、コース内外でさまざまな“体験価値”を提供することでゴルフの新たな楽しさと「ゼクシオ」の魅力を再発信する試みだ。 宣言直後からコロナ禍に入ったことにより、リアルイベントの開催を控えていたが、22年に入り徐々に再開。リスタートを切った新しい「ゼクシオ」の取り組みと、今後の展開に迫る。 一新されたロゴに込められた意味 老舗ブランドや人気ブランドであっても、そのイメージを守りつつ、ファン層を広げるためにリブランディング...
2022/11/25キャロウェイ特集

“高嶺の花”だけではない 高価格モデルを送り出す狙いとは

ゴルフクラブには、素材や製法にこだわり抜いて作られた高価格のモデルが存在する。なかには通常の市販品よりもはるかに高額な設定もあり、魅力的だけれど手を出せない…といったゴルファーは少なくないだろう。 キャロウェイゴルフは近年、そんなハイエンドモデルを数量限定で販売しているメーカーのひとつ。同社の茂貫太郎(もぬき・たろう、敬称略、以下同)アジアプロダクトマネジメント シニアマネージャーに、コストを度外視したクラブ開発の戦略について聞いた。 高価格帯シリーズに追加された破格モデル 同社が2018年から展開するオデッセイ「トゥーロン パター」は、ステンレススチールを削り出して作られる1本あたり6万円超...
2022/11/25ダンロップ特集

「100年続くブランド」を目指して 次の20年に向けた再構築

ゴルフを取り巻く環境はこの数年で大きく変化した。SNSを開けば、若いゴルファーがおしゃれなウェアでプレーする写真や動画がたくさん出てくる。ゴルフを楽しむ層は2000年代初期に比べ、若年層や女性にも広がり、その楽しみ方も一気に多様化した。 そんな時代の変化のなか、20年に渡り国内売り上げナンバー1を誇った住友ゴム工業の「ゼクシオ」ブランドが、発売20年の節目に「Re-Branding(リブランディング)」を宣言した。国内のゴルフシーンはこれからどう変化し、そして「ゼクシオ」はどう変わっていくのか。最初の企画書を手掛けた「ゼクシオ」の生みの親とともに考える。 誕生当初のペルソナ像は“部長さん” 週...
2022/11/22テーラーメイド特集

革新からスタンダードへ No.1ゴルフメーカー の新技術を生み出す源泉

ゴルフクラブの世界は日進月歩。メーカー各社による独自テクノロジーが次々と生まれ、当初は画期的と思われた技術や製法は数年もするとごく当たり前のものに変わり、さらなる進化を遂げるための基盤になっている。 さまざまなメーカーが開発競争にしのぎを削るなか、常にトップランナーとして新たなテクノロジーを発信し続けているのが、国内ドライバー販売数No.1を誇るテーラーメイドだ。これまでクラブ史に刻まれてきた主な足跡をたどりながら、その開発理念に迫る。 「革新的」を求めるアイデンティティ テーラーメイドは創業した1979年、ウッドといえば文字通り木製のパーシモンが全盛だった時代に、世界初となる金属製の「メタル...
2022/11/11キャロウェイ特集

素材でクラブ性能はどう変わる? コスト度外視で開発したシリーズとは

ゴルフクラブの開発において、技術の進化とともに各メーカーがしのぎを削っているのが、製品のパフォーマンスを高められる素材を見つけ出すことだ。販売するからには素材や加工にかけるコストの制限は常につきまとう。そこを度外視すると、クラブの性能はどこまで高められるのだろうか? キャロウェイゴルフは2022年、その答えを求めるチャレンジに打って出た。ハイグレードな素材を用いて、最高峰のクラブを作り上げることへの経緯と思いに迫る。 クラブ素材が秘める重要性 近年のゴルフクラブには、開発コンセプトや求めるテクノロジーによってさまざまな素材が用いられている。「実現したいテクノロジーによっては、“素材ありき”の部...
2022/11/11本間ゴルフ特集

新たなファン層の獲得を図る老舗ゴルフメーカーの次なる一手

1959年の創業から職人による熟練の技を継承し続け、「世界で最も優れたゴルフクラブをつくる」ことを目標に製品開発を進めてきた本間ゴルフ。その老舗ゴルフメーカーが、新たなファン層の獲得に向けて新シリーズの創出に打って出た。目的を実現するために行われた戦略とは? フリーアナウンサーの青木源太さんが本間ゴルフの酒田工場を訪れ、複数のキーパーソンに話を聞いた。 ターゲットは「ゴルフを楽しんでほしい若い世代」 一般的には、従来シリーズの後継となれば、ターゲット層は前モデルから大きく変更することはない。しかし、新シリーズとなれば、どんなゴルファーに手にしてもらいたいか明確な方向性を定める必要がある。青木さ...
2022/11/08三井住友カード特集

授かった自信と誇り 中嶋常幸が思いを託す富士山麓の戦い

プロアマ合わせて「日本タイトル」7冠。国内男子ツアーで通算48勝を挙げ、4回の賞金王に輝いた中嶋常幸(68)。近年はジュニアの育成に力を注いでいる現状と、そんな次代を担う若手たちに挑んでほしいと願う、自らを高め続けてくれたトーナメントへの思いとは―― 中嶋常幸のいまとジュニア育成 直近のツアー出場は2021年10月の「日本プロシニア」。中嶋はそれから1年余りツアーから離れ、いまは千葉県成田市にある練習施設で調整を続けている。 全身の急な痛みに襲われたのは22年の4月中旬。「関節リウマチ」と診断され、当初はペットボトルのフタを開けられず、自宅でも杖が必要なほどだった。幸いにも症状の改善に合った...
2022/11/01三井住友カード特集

世界基準への追求と50回大会のポスターに込められた思い

ゴルフトーナメントのポスターには、各大会の開催年における特色やメッセージが凝縮されていることが多い。その中でも、ゴルフファンから多くの支持を集めてきたのが「三井住友VISA太平洋マスターズ」だ。第50回の節目を迎える今年は、果たしてどのような一枚が作られたのか。開催の熱意とともに、大会実行委員長の三井住友カード株式会社常務執行役員・佐々木丈也(敬称略、以下同)に聞いた。 ポスターに込められたメッセージ 雄大な富士山と、澄み切った青空。美しい緑に彩られたコースとのコントラストが映える大会ポスターは、1998年から18年間にわたりジャパンゴルフフェアの会場、および日本ゴルフトーナメント振興協会の...