2023/10/31三井住友カード特集

次の半世紀へ 歴代覇者・宮瀬博文が語る太平洋クラブ御殿場18番の記憶

今年で51回目を迎える「三井住友VISA太平洋マスターズ」。舞台となる太平洋クラブ御殿場コースの18番(パー5)では毎年のように記憶に残るドラマが生まれてきた。1999年大会の優勝者であり、近年は同大会テレビ中継のオンコースリポーターを務める宮瀬博文とともに大会の歴史と名場面を振り返る。 ■シニアツアー3年目、初優勝を目指して戦う日々 宮瀬がレギュラーツアーで初優勝を挙げたのは1997年のこと。それから26年が経った現在はシニアツアーで初優勝を目指して奮闘している。 「シニア1年目(2021年)に何度かチャンスがあったのに勝てなくて、あそこで1つ勝っていれば、その後の流れも違ったんでしょうけ...
2023/10/11日本シャフト特集

カリー・ウェブと藤田さいきがサプライズ対面 演出したのは日本シャフト

昨季11年ぶりのツアー優勝を果たした藤田さいきに今秋、思いがけないサプライズが用意された。中学生のころからの憧れの存在であるカリー・ウェブ(オーストラリア)との対面。その機会を提供したのは両者と契約を結ぶ「日本シャフト」だった。同社のYouTube撮影とだけ聞かされ、何も知らずにやってきた藤田の反応はいかに。 ■「神様が降臨した」 上総モナークカントリークラブ(千葉)の室内練習場で撮影を前に軽くウオーミングアップをする藤田にゆっくりと近づく人影。それがウェブだと気づいた瞬間、藤田は悲鳴にも似た声を上げて泣き崩れた。メジャー通算7勝、米女子ツアー賞金女王3回のスーパースターが突然現れれば、驚く...
2023/09/07ゴルフプライド特集

義手のプロゴルファーを支える“一本筋”の通ったメンタルとグリップ

豪快なドローで240~250ヤードを飛ばし、正確なショットでグリーンをキャッチする。その男の右手は義手だ。身体的なハンディを乗り越えてプロゴルファーとなった小山田雅人のゴルフ人生は、不屈のマインドとともに「ゴルフプライド」のグリップを抜きには語れない。 ■努力すれば、できないこともできるようになる 現在は主に講演活動を行いながら、レッスンに試合にと忙しく飛び回る小山田。2歳のときに、実家の精肉店にあった肉を切る機械に右手を入れてしまい、右の手首から先を切断した。 「私が生まれ育った町(那須町伊王野)は山の中にあって人口が少ないので、周りに障がい者がいませんでした。なので、特別扱いはナシ。他の...
2023/09/05ニコン特集

上田桃子の強さの秘密―― シビアなまでにこだわる「打点」と「距離感」

上田桃子がトッププレーヤーの一人として活躍し続けてきた間にツアーは変化し続けてきた。若手の台頭でライバルの顔ぶれは入れ替わり、クラブやボールの進化でツアー全体の平均飛距離は伸びた。また、2021年に米国のプロツアーで距離計測器使用が認められるようになると、22年には日本でも使用可能となった。 そんな数々の変化の中で、日米通算17勝を挙げた上田が、自らのゴルフへのこだわり、レーザー距離計の活用法、さらにはアマチュアへのアドバイスを語る。 上田が思う「ショットメーカー」の定義 女子ツアーの中でも「ショットメーカー」として名高い上田だが、「私ってショットメーカーですか?」と、本人は苦笑いで否定する...
2023/08/25キャロウェイ特集

キャロウェイの新『APEX PRO』 女子プロも唸った「打感」とは

キャロウェイがこのほど発表した新たな「APEX」シリーズのツアープレーヤーによるテストが始まっている。新登場するのはアイアン3機種とフェアウェイウッドとユーティリティの良さをあわせ持つUWの計4モデル。国内女子ツアー「ニトリレディス」の会場では中空アイアン「APEX PRO」のテストが行われ、選手たちから打感の良さに驚く声があがっていた。いったい、どんな手ごたえなのか? 中空アイアンの概念を覆した?! 中空アイアンは独特の打感や音に特徴がある。性能的に優れていても、選手によっては馴染めないケースもあった。ただ、今回のPROに関してはそんな違和感を持った選手はほとんどいなかったようだ。 軟鉄鍛造...
2023/08/18ニコン特集

愛用8年 久保谷健一がレーザー距離計で覗いたゴルフの変化

ツアー7勝のうち国内メジャー2勝、米ツアーへの参戦経験もある――。この経歴を目にして、「久保谷健一」の名前がすぐに浮かぶ人はかなり熱心なゴルフファンだろう。 レジェンド級の実績を持ちながらも、後輩のプロからは“ケンケン”と親しみを込めて呼ばれる久保谷。どんなにいいスコアで上がっても「たまたま」と謙遜し「明日も続くような内容じゃないんで」と、もはや持ち味ともいえるボヤキは、男子ツアーの名物だ。 「守っていたら戦えない」男子ツアーの変化 ボヤキの理由を本人は、「プラス思考じゃないのは確かですけど、別にマイナス思考というわけじゃないです。言うなれば、安定思考。例えば、フェアウェイセンターの好ポジショ...
2023/08/03ニコン特集

“ピン”ポイントでロックオン! ゴルフ用究極レーザー距離計のザ・ヒストリー

「ニコン」という社名を聞けば、おのずとカメラを思い浮かべる人が多いだろう。創業から100年を超える歴史を誇り、店頭にはプロユースから一般ユーザー向けまで多くのカメラ製品が並ぶ。しかし、その原点は“双眼鏡”だ。 1917年に光学機器の国産化を目指し「日本光学工業株式会社」として創業すると、1921年には初めて開発、設計、製造などをすべて自社で行った双眼鏡を世に送り出した。 そして、カメラと双眼鏡、双方の技術を結集する形で作られているのがゴルフ用のレーザー距離計「COOLSHOT」シリーズだ。2016年には世界初の手ブレ補正機能を搭載したモデルを発売し、多くのユーザーに愛用されている。これまでの開...
2023/07/25フジクラ特集

ツアー初Vからの全英出場 平田憲聖がこだわる1Wのシャフトとその理由とは

今年の「~全英への道~ミズノオープン」でツアー初優勝を果たし、自身初の海外メジャーとなる「全英オープン」に出場した22歳の平田憲聖。プロに転向してから初の海外遠征は悔しい予選落ちとなったものの、貴重な経験は今後のツアープロ人生に大きな影響を与えることになる。 平田といえば今季も安定したドライバーショットを放ち続けているが、ドライバーのシャフトはフジクラの「VENTUS TR BLUE」に替えたという。長さも45インチから45.75インチに変更するなど、シャフトに対するこだわりは独特だ。 ■昨年までの45インチから45.75インチに メーカーによっても異なるが、国内ツアーではシーズン終盤に入ると...
2023/07/10日本シャフト特集

だからこそ標準シャフトに選び、選ばれた【国内クラブメーカー編】

国内唯一の総合ゴルフシャフトメーカー「日本シャフト(NIPPON SHAFT)」。信頼と実績は、国内外のクラブメーカーにも純正として採用されていることでも明らかだ。先のコロナ禍では品薄状態でもメーカーへの誠実な対応でエンドユーザーの手へ。その精神はまさに日本が誇る“おもてなし”。クラブメーカー、住友ゴム工業(ダンロップ)の場合、日本シャフトからどんな恩恵を受け、どんなメリットを享受しているのか。 ■「ゼクシオ」誕生の裏側 1988年から約10年間、ダンロップがキャロウェイ製品を販売していたのをご存じだろうか。ダンロップとキャロウェイが代理店契約を結んでいた当時の代表モデルといえば、「キャロウ...
2023/06/26ゴルフプライド特集

「全米オープン」で経験値アップ 永野竜太郎のグリップのこだわりには超ベテランの助言も

今年6月、海外メジャーの中で最も過酷といわれる「全米オープン」に初出場し、日本勢最高の20位で締めくくった永野竜太郎。試合の結果よりも現場から何を感じ取り、国内ツアーでどう生かすかが勝負だと語っていたが、今後の戦いぶりを見ればその成果がわかるだろう。 その永野が昨年からグリップを太めのタイプに替えたことをご存じだろうか。握ったときに指が余らず、よりクラブとの密着度が上がったという。「ゴルフプライド」を長年愛用する永野だが、グリップに対してどのようなこだわりを持っているのか。 ■身体とクラブの唯一の接点 昨年の「ゴルフパートナーPRO‐AMAトーナメント」でのことだ。練習日に同組でラウンドしてい...
2023/06/19フォーティーン特集

パイオニアとしての強み すべてはアマチュアのために

国内女子ツアーで33歳のベテランが最長ブランク記録となる11年189日ぶりの2勝目を挙げたのは2022年10月の「樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント」だった。その14本のクラブの中に「フォーティーン」のウェッジが3本あった。ロフト角46、52、58度の「RM-4」だ。 年間を通じて、アマチュアの試合を中心に足を運び、合間を縫って女子ツアーの会場にも出向く営業部主事の飯塚裕一(敬称略、以下同)はその時、群馬・藤岡ゴルフクラブでプレーしていた。「テレビ中継も見られなかったのでネットで見て頑張っているなと思っていた」と言い、優勝したことは関係者からの電話で知った。 フォーティーンが契約する...
2023/06/09テーラーメイド特集

“感覚派”山内日菜子の初優勝を支えた周囲のサポートとクラブ性能

今季の国内女子ツアー第4戦「アクサレディス」で、地元・宮崎出身の山内日菜子が初優勝を飾った。昨年のクォリファイングトーナメント(QT、予選会)で下位に沈み、今季はステップアップツアーの出場もままならないという状況の中、推薦出場のチャンスを生かしての下剋上は、多くのゴルフファンに強い印象を残した。 プロ8年目でつかんだ初優勝。その裏に合った契約メーカーであるテーラーメイドのサポートと、クラブにまつわるエピソードをお届けする。 今季最初の公式戦直前にパターグリップを変更 今季のレギュラーツアー初出場となった「アクサレディス」の開幕前日、山内はエースパターである「スパイダー GTx BLACK トラ...
2023/06/05フジクラ特集

サッカー元日本代表・城彰二さんの深すぎるゴルフ愛とシャフト愛

ことし30周年を迎えたJリーグ。その草創期からゴールゲッターとして活躍し、日本代表のエースとして1998年フランスW杯に出場。2006年に現役引退し、現在はサッカー解説者として活躍する城彰二さん。「唯一の趣味」と公言するのがゴルフだ。引退後はその魅力にどっぷりハマっている。 ■「ゴルフ嫌い」→初ラウンドで100切り、ベストスコア「69」 プロサッカー選手を引退した城さんが、周囲に言われてコースデビューしたのは31歳のとき。「ゴルフに全く興味がなかったし、ルールも全然知りませんでした。最初にドライバーを打つとか、どの番手を持てばいいかも分からなかった」という。「『とにかくボールに当てればいいんで...
2023/05/30日本シャフト特集

カリスマフィッター鹿又芳典氏がクオリティの高い製品から受ける恩恵とは

国内唯一の総合ゴルフシャフトメーカー「日本シャフト(NIPPON SHAFT)」。信頼と実績は、国内だけでなく、海外のクラブメーカーにも純正として採用されていることでも明らかだ。先のコロナ禍では品薄状態でもメーカーへの誠実な対応でエンドユーザーの手へ。その精神はまさに日本が誇る“おもてなし”。日本シャフトと関わりの深い、クラブコーディネーターの鹿又芳典(敬称略、以下同)もまた、恩恵を受けている一人だ。 ■ゴルフクラブの起承転結を長く見守ってきた ドライバーのヘッドでいえば、パーシモン、メタル、チタン、カーボン。シャフトでいえばヒッコリー、スチール、カーボンと進化を続けているゴルフクラブの世界。...
2023/05/29テーラーメイド特集

“プロ”の挑戦をサポートし続けるテーラーメイドと石坂友宏の関係性

若手の躍進が続く国内男子ツアーにあり、初優勝が期待されるプレーヤーの一人が、テーラーメイドとクラブ契約をしている石坂友宏だ。まだプロとしては無名の存在だった2020年11月の「ダンロップフェニックス」ではプレーオフで敗れたものの2位と大健闘。ここから一気にシード選手へと飛躍を遂げた。 石坂が持つクラブに対する考え方、さらにはサポートをしてくれるツアーレップとの関係など、トーナメント観戦だけでは見えてこないツアープロの舞台裏に迫る。 “ダメ元”での紹介からクラブ提供が始まる 神奈川県横須賀市出身の石坂は、中学時代に「関東ジュニア」、「関東中学校ゴルフ選手権春季大会」で優勝するなど、同世代の中では...
2023/05/17フォーティーン特集

名匠の教えを生かすかどうかは「自分たち次第」

群馬県の高崎駅から車で約20分。東アジアの文化交流を記す特別史跡「上野(こうずけ)三碑」のひとつ、「多胡碑」がある吉井町にゴルフクラブメーカー「フォーティーン」のヘッドオフィスはある。日本が誇るクラブ設計家、竹林隆光(敬称略、以下同)が高崎市内で創業し、約30年前に移転した。社員約50人が働く。 営業部参事の池田純(敬称略、以下同)は、数々の名器を世に送り出して2013年に亡くなった竹林の思いを継承するひとりだ。YouTubeの公式チャンネルを開設、自ら出演してこの地から発信している。 「他のメーカーと同じことをするな」「ユーザーを見ろ」-。竹林の教えを守りつつ、限りある広告予算の中でいかに「...
2023/04/28フジクラ特集

ゴルファーを救う「天職」へと到達したシャフトフィッターの執念

ここ最近、カスタムシャフトのニーズが拡大し、「シャフトで飛距離が変わる」を実感している人が増えているという。シャフトフィッターの職業とその“流儀”を通して、現状に迫る。 ■ラウンドよりもクラブの調整が面白かった高校時代 日本を代表するシャフトメーカー、藤倉コンポジットのフジクラゴルフクラブ相談室木場店には、2022年度に2541人のゴルファーが来店した。単純計算で1日当たり約7人の計算。10年前の来店者数は1695人だったことから考えると、それだけアマチュアゴルファーのシャフトに対する意識が変わったといえる。実際、リシャフトしたことで、ゴルフが劇変した人は数え切れないのだという。 同店には現在...
2023/04/17フォーティーン特集

「ゴルファーに一番近い会社」に息づく名匠・竹林隆光の言葉

いまではプロのみならずアマチュアもアイアンセットとは別に単品ウェッジをセッティングに組み込むようになった。ブームの先駆けをつくったのが、ゴルフクラブデザイナーの竹林隆光さん(以下、敬称略)。数々の名器を生み出した、日本を代表する名匠がこの世を去ってことしで10年になる。 クラブメーカー「フォーティーン」(本社・群馬県高崎市)の創業者、竹林は2013年に亡くなった。64歳だった。「ゴルフ業界に重心理論(重心距離や慣性モーメントなど重心の位置を示す数値)を持ち込んで、職人のフィーリングや勘を数値に置き換え、ゴルファーとゴルフクラブをつないだ。世界のゴルフ業界の設計開発をデジタルに変えた。それはすご...
2023/03/29テーラーメイド特集

カーボンウッドが追求する理想の打音と打感

もしも機械がボールを打つのであれば、気にする必要はないのかもしれない。しかし、プレーヤーが人間である以上、ゴルフクラブを選ぶうえで打音と打感は重要な要素となる。 自分の感覚と結果がマッチしているか。気持ちよくプレーできるか。ゴルファーの満足度やスコアに、打音と打感は影響を及ぼす。 やわらかさだけで打感は語れない 打感を表現する言葉はさまざまだが、「やわらかい」はおおむねポジティブな意味で使用されることが多い。一方で、対義語である「硬い」も、「しっかりした打感」や「弾き感がある」など、ニュアンスによっては好印象を与えるなど、好みは多種多様だ。 世界のトッププレーヤーから一般のアマチュアゴルファー...
2023/03/24ダンロップ特集

「ボールは1つ」つくる難しさと面白さにのめり込んだ開発者のこだわり

ゴルフボールは「特許の塊」といわれる。白いカバーはもちろん、内側のコア(中心部)にも多くの技術が注ぎ込まれているからだ。 同時に、開発者たちの試行錯誤や熱意も込められている。毎年のように生み出される新作の開発にあたる者はどんなことを考えているのか。 研究者気質で “つくる側”へ 直径4センチ強のゴルフボール。「クラブを替えてもボールは(基本的には)1つ。全番手に影響する」。住友ゴム工業スポーツ事業本部商品開発部の井上英高(敬称略、以下同)はそれがゴルフボール開発の面白さであり、同時に難しさであるという。 東京工業大学大学院で炭素繊維の研究をしていた井上は先輩に誘われてゴルフを始めた。「まったく...