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PGAツアーのつくりかた ZOZOチャンピオンシップTee-Offルポ(1)

初開催の舞台裏をリポート

2019年10月、日本で初めてPGAツアー(米国男子ツアー)が開催される。「ZOZOチャンピオンシップ」は新シーズン開幕直後のアジアシリーズのひとつに組み込まれた、賞金総額975万ドル(約11億円)のビッグイベント。日本男子ツアーとの共催という形で行われる。会場となる千葉県のアコーディア・ゴルフ習志野CCでは現在、急ピッチで準備が進行中だ。本連載では世界一のツアーがひとつの大会をどう作り上げるのか、その裏側を大会直前までリポートする。

準備期間は半年以上

3月初旬、来日したPGAツアーのスタッフたちは人知れずコースの視察を進めていた。本拠地を置くフロリダ・ポンテペドラビーチとは異なり、この日の千葉県内には冷たい雨が注いでいた。「運営準備には半年から8カ月かかる。逆算して準備を進めている」と話すのはZOZO選手権のエグゼクティブディレクター、トラビス・スタイナー氏。いわば、この大会の運営を統括する責任者である。

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「日本は米国に次いで、世界で2番目の市場規模を誇るゴルフ大国。PGAツアーは長年、大会の開催を検討していた。韓国での開催(ザ・CJカップ@ナインブリッジ/2017年から)は大成功だった。日本への期待も大きい」

1968年に全米プロゴルフ協会から独立して誕生したPGAツアーはこれまで、米国の外でも大会を行ってきた。アジアでの開催は中国(世界選手権シリーズ)、マレーシア、韓国に続き4カ国目となる。

「特別なことがあったわけでなく、機が熟したというタイミングなのだと思う。テクノロジーやメディア、すべてが発達して、ますます日本での開催が望まれる状況になった。アジアでのツアー展開に日本は不可欠。すでに中国、韓国では成功を収めている。単発とはいえ、日本でも2001年にワールドカップを開催した。アジア市場の要として日本開催の機会をうかがっていたが、今がまさにその時なのでしょう」

ZOZOという気鋭のパートナーとタッグを組み、待望の瞬間に向けて準備を進めている。

コース改修とドライビングレンジ

アコーディア・ゴルフ習志野CCは、キングコースとクイーンコースの計36ホールから成る。「ZOZO選手権」では両コースからホールを選び、普段の営業時とは異なる18ホールを構成する予定だ。PGAツアー選手の技術やパワーを引き出せるよう、後方にティグラウンドを新設中のホールもいくつかある。

PGAツアーのシニアレフリー、マーク・ダスバベック氏は、今回の視察で初めて来日した。この道14年の競技委員はフェアウェイのライン取り、日々のピンプレースといったコースセッティングに関する多数の業務のほか、会場全体の環境整備も仕事のひとつとする。

現在、頭を悩ませているのが練習場の設営。一般営業の際のドライビングレンジはPGAツアーの要求を満たしていない。具体的には、大会期間中に300ydのショットを許容する必要がある。そのため、36ホールのうち競技で使わないホールを利用するつもりだ。

一方で、PGAツアーには哲学がある。「我々が海外で試合を開催する際にいつも心がけているのは、ローカルの伝統を大事にしながら大会をつくること。今回も日本の持ち味を消して運営をするつもりはない」

習志野CCはかつて、1974年から97年まで日本ツアーのサントリーオープンをホストし、世界の名だたるプロも来日してプレーした。「普段はもっと古いコースを見ていますが、習志野にはそれに負けない並木の景観美がある。新鮮で雰囲気が素晴らしい。自然美にコースがうまく溶け込んでいる。レイアウトも面白く、仲間がここを選んだ理由が分かる」と好感を持っている。

PGAツアーが期待する「日本らしさ」

実は日本側のコース管理担当者であるアコーディア・ゴルフの瀧口悟コース管理本部マネジャーは数年前、PGAツアーと仕事をした経験があった。2017年に成田ゴルフ倶楽部で行われたPGAツアー・チャンピオンズ(シニアツアー)「JAL選手権」で開催に向けて協力体制を築いた。

「一番なるほど、というか『違うな』と思ったのが(PGAツアーは)アメリカ的なコースを望むのかなと思っていたら、『日本に来たんだから日本の特徴があるコースでやりたい』と言った。そういう考え方なんだ、と“目から鱗(が落ちた)”というか」

最初にコースの構成を提案した際には、距離の長いホールばかりを組み合わせていたというが、難色を示された。「『距離(が重要)じゃないんだ。選手にとってフェアなのかアンフェアなのか』を重要視している」と、うなずいた。

冒頭の責任者、スタイナー氏の仕事はコース内にとどまらない。ZOZOの幹部はもちろん、開催地の千葉県印西市をはじめとする行政機関との調整も欠かせない。駐車場や交通渋滞を考慮すると、話は地域社会全体に及ぶ。警備のほか「バイリンガルのボランティアが足りない」として、在日米国大使館にも協力を要請しているという。

クリアしていくべきハードルはまだ、目の前に無数にある。ただひとつ、スタイナー氏には、日本でなら安心して大会が実施できると期待していることがある。

「来場者のマナーは選手にとって、非常に重要。他の地域で開催したときはマナーの悪い観客もいて、心労を抱える選手もいた。米国内でも規制は大変。けれど、日本では心配していない。選手たちもそれがすぐに分かると期待している。プレーヤーにとっては最高の環境だ」

2019年 ZOZOチャンピオンシップ



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