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進藤大典 PGAツアー・ヤーデージブック読解

松山英樹に重なる“目力” 馬場咲希は有言実行V だった

馬場咲希選手が日本人として37年ぶりに「全米女子アマ」優勝の快挙を成し遂げました。6月の本コーナーでも書いたように、僕は5月に縁あって一緒にプレーする機会がありました。今回の渡米前にも「勝ってきて!」と激励すると、「任せてください!」。驚くほど力強い言葉を返してくれました。

そして、見事な勝ちっぷり。出会ったころの松山英樹選手を思い出しました。プロになる前から「メジャーで勝ちます」と明確に目標を見据え、強い意志を宿した瞳。馬場選手も同じような“目”をしています。

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舞台となったワシントン州チェンバーズベイGCは2015年に「全米オープン」をホストしました。当時から芝の張り替えを行ったとのことですが、このコースの恐ろしさは傾斜の激しさにあります。今まで見た中でも一番といっていいレベルで、グリーンはもちろん、フェアウェイの傾斜も全て頭にたたき込んで攻めていくことが求められる。「マスターズ」を開催するオーガスタナショナルGCと「全英オープン」のリンクスを融合させたようなコースでした。

グリーン自体も3パットを平気でしてしまうような大きな形状。ホールによっては60~70ydもフェアウェイに戻されてしまったり、そのままブッシュまで転がっていってしまったり。バンカーの形も全て歪(いびつ)で、ボールがどんなライに止まるのか分からない恐怖感を覚えたものです。傾斜をしっかり使って寄せなければ絶対に止まらないピン位置など、イマジネーションが欠かせない分、ゴルフの幅を広げてくれるコースともいえるでしょう。

5月にラウンドしたとき、1Wの飛距離が270~280ydの僕をアウトドライブする場面があっただけでなく、アイアンショットにも衝撃を受けました。しっかりスピンが入った高い球を打っていて、持つ番手も僕と変わらなかったのですから。この試合では圧倒的な飛距離に加え、パッティングが抜群。見ている限りボールを置くラインもしっかりマネジメントされていて、スキがありませんでした。

中学のころから指導を受けているという坂詰和久コーチのもとでドローからフェードに球筋を変え、安定感が飛躍的に向上。一気に“世界一”まで駆け上がるさまは、なかなかメジャータイトルに届かなかったダスティン・ジョンソンがやはりドローからフェードに球筋を変え、2016年の「全米オープン」で頂点に立ったストーリーを想起させます。

練習ラウンドから自分が打ったアイアンの番手ごとにキャリーの距離を漏らさずにメモ。プロの試合で見て学んだことを取り入れたそうですが、普段からこれだけ徹底している選手も珍しい。まさに向上心の塊です。

本人の努力と坂詰コーチを中心とする指導環境がかみ合い、一気に才能が開花しました。今回同行していた父・哲也さんの献身的なサポートも見逃せません。6月の「全米女子オープン」ではアマチュア規則改訂に合わせ、遠征資金としてスポンサー集めに奔走。日本の試合ではキャディとしてバッグを担ぎ、足を痛めて歩くのが大変になることもあったとか。選手とキャディとしてラウンドするときは意見が食い違ってけんかになることもあるそうですが(笑)、深い信頼関係で結ばれた素敵な親子です。

彗星のごとく現れたスーパースター候補。もっともっと大きな夢をかなえてくれそうな17歳の今後から目が離せません。(解説・進藤大典)

進藤大典(しんどう・だいすけ)
1980年、京都府生まれ。高知・明徳義塾を卒業後、東北福祉大ゴルフ部時代に同級生の宮里優作のキャディを務めたことから、ツアーの世界に飛び込む。谷原秀人、片山晋呉ら男子プロと長くコンビを組んだ。2012年秋から18年まで松山英樹と専属契約を結び、PGAツアー5勝をアシストした。

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