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【WORLD】大学卒業とこれから/ミッシェル・ウィ ストーリー

Golf World(2012年3月19日号) texted by Ron Kroichick

スッキリと晴れた2月下旬のある日の午後、ミッシェル・ウィは広大なスタンフォード大学のキャンパス内にある、お気に入りの“たまり場”に足を踏み入れた。気取らないコーヒー・ハウスで、勉強したり、おしゃべりをしたり、軽く食事を取ったりする学生たちでごった返している。ブルージーンズと厚めのスカーフを身につけた彼女は、ポニーテールに混ざる一筋の髪の毛とほぼ同じ色合いの、ライムグリーンのバックパックを持っていた。180センチを超える長身も、この光景に違和感なく溶け込んでいた。

テーブルで45分以上を過ごす間、ウィに近づいて来たのはたった1人だけ。しかも、サインを求めに来たわけではなく、決まり悪そうにチャリティ募金を集めている女性だった(この女性はウィが金持ちで有名であるとは、まったく知らなかったのだが)。

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これこそが、ウィがここ4年半の人生を堪能できた数多くの理由の1つだ。彼女は、かつてPGAツアーのイベントでも思い切ってプレーしようとした天才、ミッシェル・ウィとして歩き回ることはなかったのだ。新しい友達を作り、同年代の仲間と一緒に過ごす、単なる1人のスタンフォード大学の学生であり、学業に対する同じ悩みを抱えながら、卒業という同じの目標に向かって歩を進めていた。

「顔を見て判断しない人たちと一緒にいるのって良いわね」。ウィはキャンパスで“その他大勢”の1人になる気分を語った。「ここでの友達は、ゴルフなんて知らないから、それぞれの人となりを知りながら、友達になれるのがいいのよ。バイオグラフィーを見て、先入観を持つことがないから」。

確かにいろいろな意味で、ミシェルはクラスメートたちとは同じ道のりを歩んでは来なかった。結局、彼女がミッシェル・ウィであることは変わらない。早熟ともいえるゴルフの才能や堂々たるスイング、幅広く議論された男子ツアーへの参戦、後のスタンフォード大学への入学…。彼女がたどってきた22年あまりの人生は、普通のそれとはまったくかけ離れたものだ。

そして今、春が訪れ、議論の範囲を超えて生まれたひとつの事実。ウィは大学の卒業生となる。これは、過去3年にわたり、プロトーナメントを年間19試合以上戦ってきたゴルファーにとって、通常では考えられない目標達成だ。

学業を終え(専攻はコミュニケーション)、キャリアの次の章に乗り出すというこの節目は、ウィの中にさまざまな感情を生み出している。今後は、昨年夏にフロリダ州ジュピターに購入した家に、両親と一緒に引っ越す予定だ。ベアーズ・クラブでプレーして、ルーク・ドナルドからパットと絵画を学び、ツアープロとして世界を飛び回る環境に身を投じるつもり。友達と一緒にスタンフォード大学のフットボールやバスケットボール、バレーボールの試合を定期的に応援に出かけた、コミューンのような大学生活とは、まるで正反対に位置する世界だ。

「卒業して、人生の次のステージに進めることを、本当にうれしく思うわ。ゴルフに集中して、他のことに打ち込める時間がもっと持てるはずだから」とウィは言う。「でも、大学時代は人生で最高の4年半だったから、寂しい気持ちもあるの。ちいさな風船の中にみんなで入って、一緒に成長していく、大学生活みたいな経験はしたことがなかったから」。

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