鈴木愛の14本は下の番手をガラッと変更 パターは「PLD KUSHIN」の完全プロト
◇国内女子◇明治安田レディス ヨコハマタイヤ 最終日(10日)◇土佐CC(高知)◇6273yd(パー72)◇晴れ(観衆2152人)
後続に6打差をつけ、初日から首位の座を守る“完全優勝”を果たした鈴木愛。4日間を通してのパーオン率は79%(57/72)と安定感の高さをみせた。そんな好調を支えた14本のクラブたちをチェックしてみよう。
ドライバーからアイアンまでの番手に昨年からの変更点はない。ドライバーと3Wはピン「G430 LST」を継続。ピンの新ドライバー「G430 MAX 10K」もオフに試したというが、「パフォーマンスが変わらなかったので無理に替える必要はないという判断でした」(ピンのツアー担当)とエースの安定感を優先した。「G425 MAX」の7W(20.5度)と「G430ハイブリッド」の4、5番も不動のレギュラー。信頼感は強い。
鈴木は昨年秋口にアイアンを一新していた。ピンの「i210」から最新の「ブループリントS」へ。「彼女はまずソールの抜けの良さを気に入っていました。さらに打ってみると意外と球の高さも出て、ラフに入った時でもスピン量がしっかりと入る。今回のブループリントは女子プロでも使う選手は多いです」(同担当)。ブループリントに替えたことで、高い球や低い球、曲げる球など、操作性が向上してピンを狙うバリエーションも増えたようだ。
上の番手とは対照的に、下の番手はガラッと替えた。ウェッジが2017年モデル「GLIDE 2.0」から、ピンの新しい「S159」へ。ロフトピッチは50、54、58度から変更なし。「GLIDEは3.0、4.0と出ていますが、これまで順応できませんでした。どちらもオフセットはそこまでではないのですが、本人の中で少しそれを感じるようで。そうなるとボールを上手くとらえづらく、弾道のイメージが出なかったんです」(同担当)
今回の「S159」に関しては、ひと目見て気に入った。「GLIDE2.0とネックの感じ、フェースの見え方が似ているんです。鈴木プロも見た瞬間『いいな』となって」。オフにピンの本社があるアリゾナでウェッジのテストを行い、幅がやや広めでバウンス角が少なめな「Bソール」のヒール側を削った形に落ち着いた。
鈴木自身も「スピンは必要ですけど、かかりすぎるのはイヤ。その上でグリーン周りはしっかりスピンが入るというヘッドが良い。今まではそこのバランスが難しかったですが、今回はそれがすべてハマりました」と、早くも全幅の信頼を置いている。
もう一つの変化がパターだ。ピン「PLD KUSHIN」のセンターシャフトモデル。「彼女はKUSHINのヘッド形状を気に入っていて、センターシャフトで作れないかというリクエストを受けていたんです」(同担当)。そのヘッドは昨年の「TOTOジャパンクラシック」で鈴木の手元に届き、これまで試合で使用したことはなかったが、今季から投入した。「今は本人のパット時の心地よいセットアップがセンターシャフトと合うようです。昨年使っていたエースの『アンサー2』だとクランクネックでグースがついた感じになり、アドレスと合わないようなんです」と、現在の自身の構えとマッチしたわけだ。
振り心地を考え、フェースはアルミのインサートに替えてヘッドを軽くしているという。まさに完全なるプロトタイプ。ツアー屈指のパット巧者のパター選びは実に興味深い。
下の番手を充実させ、盤石の布陣ができあがった14本のセッティング。鈴木はことし、あと何回勝利を重ねるのだろうか。
<最終日のクラブセッティング>
ドライバー:ピン G430 LST(10.5度)
シャフト:ピン ALTA J CB(長さ45.5インチ、重さ50g台、硬さS)
グリップ:イオミック1.8
フェアウェイウッド:ピン G430 LST(3番15度)、ピン G425 MAX(7番20.5度)
シャフト:3番/ALTA CB BLACK (65R)、7番/ALTA CB(65R)
ユーティリティ:ピン G430 ハイブリッド(4番22度、5番26度)
シャフト:ピン TOUR 2.0 クローム(85R)
アイアン:ピン ブループリントS(6番~PW)
シャフト:日本シャフトNSプロ 950GH neo(R)
ウェッジ:ピン S159(50、54、58度)
シャフト:ピン CFS(R)
パター:ピン PLD KUSHIN C プロトタイプ
ボール:タイトリスト プロV1x