あなたは、飛距離を捨てることができますか?
「週刊ゴルフダイジェスト」連載「とにかく80台で回りたいんだ!」(2月5日号)より
「とにかく、いつも80台で回りたい!」と、自ら編み出した「89ビジョン」ゴルフ論を連載しているコラムニスト・木村和久氏が、今回は独特の“脱・飛距離”論を展開している。
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最近のプロゴルファーの飛距離はとんでもない領域に入ってきていますね。300ヤードヒッターがざらです。それに引き換え、アベレージアマの飛ばないこと。220ヤードヒッターのまま、進化は止まったように見えます。
そもそも、ドライバーなどの高反発規制が始まったのが、日本の男子ツアーで2003年(アマは2008年から)。それまではアマも高反発ドライバーで飛距離を稼ぐことができたのですが、低反発ドライバーになってから、とんと飛ばなくなりました。ところがプロは、低反発ドライバーなのに、その後も飛距離がぐんぐん伸びて、一部のプロは平均300ヤード超えに到達。
なにゆえアマチュアはあまり飛距離が伸びないのか。それは基本的なエンジン性能、すなわちヘッドスピードがないのが、まず挙げられます。そういうと女子プロは男子アマと変わらぬヘッドスピードなのに、250ヤード飛ぶじゃないかとお叱りを受けますが、これが大いなる誤解と謎なんです。
まずアマチュアはミート率が低いです。つまり芯をなかなか食わないというか食えない。アマチュア用のドライバーは優秀で、芯を食わないへんてこな当たりでも、200ヤードくらい飛ぶように設計してあります。すなわち「250ヤード飛ばないことを嘆くよりも、当たりそこないのヒールボールが200ヤードも前進することに感謝したほうがいい」です。
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というわけで、宮本留吉氏の名言をどうぞ。
「飛距離は持って生まれたもの。逆らっては自分のスタイルは確立しない」
どうです、心に泌みますね。さらにとどめの一撃はこれだ。
「飛距離は捨てても9割残る。方向性を捨てたら何も残らない」(全米アマチャンプ、ナサニエル・クロスビー)
さすがビング・クロスビーの息子、名言です。どうです、みなさん、これで迷わず飛距離を捨てることができますね。