2014年PGATOURギアトレンド(3)タイトリスト
By Jonathan Wall, PGATOUR.COM
タイトリストにとってはまたしてもツアーでの実り多きシーズンとなったわけだが、その多くは今年中頃に発表された2つの製品、915ドライバーとPRO V1/PRO V1Xプロトタイプボールに依るところが大きい。ここにタイトリストの今シーズンを振り返ってみよう。
ツアーで発表されたギア
タイトリスト 915 (ドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッド)、スコッティキャメロン Futura X5 (パター)、ボーケイ スピンミルド5 (ウェッジ)、タイトリスト PRO V1プロトタイプ (ボール)
PGAツアー勝者(2013-14)
ジミー・ウォーカー (Frys.comオープン、ソニーオープン、AT&Tペブルビーチナショナルプロアマ)、ウェブ・シンプソン (シュライナーズホスピタル・フォー・チルドレン・オープン)、ザック・ジョンソン (ヒュンダイトーナメント・オブ・チャンピオンズ)、スコット・スターリングス (ファーマーズインシュランスオープン)、チェソン・ハドリー (プエルトリコオープン)、マット・ジョーンズ (シェルヒューストンオープン)、アダム・スコット (クラウンプラザインビテーショナル・アット・コロニアル)、ベン・クレーン (フェデックス・セントジュードクラシック)、ティム・クラーク (RBCカナダオープン)、ジェフ・オギルビー (バラクーダ選手権)
タイトリスト PRO V1Xプロトタイプが輝きを放つ
タイトリストの2015 PRO V1Xは来年初頭までリリースされないが、それでもここ数ヶ月、プロゴルフの世界でこのプロトタイプ版のボールが最も熱いギアの話題となってきた。「シュライナーズホスピタル・フォー・チルドレン・オープン」でこのボールが発表されて以来、バッバ・ワトソン、チャーリー・ホフマン、ジョーダン・スピース(2勝)、そしてパドレイグ・ハリントンが2015 PRO V1X を使用してワールドワイドで勝利を収めている。
スピースは、「2015 PRO V1Xでプレーしているけれど、これまでのバージョンでもこのボールが進化を遂げてきたように、僕にとってもすごい進歩となった」と、6打差で「オーストラリアオープン」で勝利した際に述べた。「僕にとって良くなったのは、カバーが軟らかくなったこと。グリーン周りでのスピンコントロールが更に向上したし、パターで打感が出るようになった。それでいて、長いクラブでの飛距離やスピン量を犠牲にしていない。ティからは依然として飛距離が出つつも、グリーン周りでのコントロールが利くんだ」
TPCサマリンの練習レンジで初めてお披露目されたこのボールは、当初無地の白い箱に入っており、タイトリストの次世代ボールとして「シュライナーズホスピタル・フォー・チルドレン・オープン」に出場する選手たちに手渡された。タイトリストのツアー関係者は、製品についての詳細は語らなかったが、打音と打感が改良されていると認めた。小売り版のPRO V1とPRO V1Xは、1月にフロリダ州オーランドで開催されるPGA展示会でベールを脱ぐことになる。
タイトリスト 915が登場
タイトリストのPRO V1Xプロトタイプと同様、915ドライバーも「クイッケンズローンナショナル」で登場すると早々に大評判となった。同大会では29人のフルタイムの契約選手のうち18人の契約選手が915ドライバーを使用し、その中にはジェイソン・ダフナーとジョーダン・スピースが含まれる。「バラクーダ選手権」を制したジェフ・オギルビーは、初めてこのドライバー(915D2)を使って優勝した選手となった。チャーリー・ホフマン、ジョーダン・スピース、そしてブルックス・ケプカも、ソールの底にActive Recoil Channelが搭載された新しいドライバーで勝利を収めている。
このチャンネルはリーディングエッジのすぐ後方にヘッドのヒールからトゥにかけて配置されており、これによりフェースの上部と下部がたわみ、スピン量を抑えながらボール速度が増す設計になっている。
ボーケイ スピンミルド5ウェッジ
タイトリストのボーケイデザイン スピンミルド5(SM5)ウェッジは昨年のラスベガスでの「シュライナーズホスピタル・フォー・チルドレン・オープン」でお披露目され、ツアーのシード権獲得争う選手たちが使用することで、製品が小売り販売に至るまでの間に多くのフィードバックを得るところとなった。中でもアダム・スコット、スティーブ・ストリッカー、そしてジェイソン・ダフナーといった選手たちとの緊密な共同作業を経て、タイトリストはPGAショーにてこの新しいウェッジを発表することになる。
8620カーボンスチールで鍛造されたウェッジは、より深くなり容積が7パーセント大きくなった新しいTX3溝が搭載されており、パフォーマンス上2つの構成となっている。46度から53度のウェッジではフェースの溝はCNC削り出しとなっており、従来と比べ溝は深く、そして狭くなっている。56度から62度のウェッジでは、TX3溝はSM4と同じ幅となっているが、深さが増し容積が7パーセント大きくなった。この溝の微調整により、選手によってはラフからフルスイングのショットを打つ際、ロフトの低いSM5ウェッジでは500 rpm、ロフトの高い方では400 rpmだけスピン量が増している。
ジョーダン・スピース、スコット・スターリングス、チャーリー・ホフマン、そしてロバート・スターブは今年バッグにSM5を加えて勝利した数少ない選手である。
新しいスピンミルドのリリースとともに、ボーケイはTVD ("Tour Van Design")ラインナップでのK-GrindとM-Grindの登場も発表した。TVD-Kはボーケイがアダム・スコットやジェイソン・ダフナーといった多くの選手たちと仕事をするなかでインスパイアされて誕生したウェッジであり(スコットは60度のTVD-Kを使って「クラウンプラザインビテーショナル・アット・コロニアル」を制している)、これまでのボーケイモデルの中で最も広くなったソールを持っており、バンカーでの使用を容易にしつつ、グリーン周りでの使用も可能となっている。
TVD-MはTVD-Kと比較するとより湾曲したティアドロップ型となっている。三日月形のM-Grindソールはウェッジに適度なバウンス効果をもたらし、全コンディション型のウェッジとして仕上がっている。
PRO V1Xがフェデックスカップを独占
PRO V1とPRO V1X は両方合わせて2013-14シーズンにPGAツアーで26勝を達成。中でもタイトリストのPRO V1Xはフェデックスカッププレーオフでの勝利を独占。ハンター・メイハン、クリス・カーク、そしてビリー・ホーシェルが同ボールを使用し、それぞれ「バークレイズ」、「ドイツバンク選手権」、そして「ツアー選手権」を制している。
スコッティキャメロン Futura X5
「クラウンプラザインビテーショナル・アット・コロニアル」で使用することはなかったが、アダム・スコットが練習グリーンで加重ウィングとロッカーソールが配されたスコッティキャメロンのプロトタイプパターをテストする姿は大きな関心事となった。
関係者の多くはツアー仕様のみのプロトタイプとなるであろうと推測したそのパターはキャメロンの最新作、Futura X5となった。この慣性モーメントの高いパターは5ヶ月前に発表され、ジョーダン・スピース、キーガン・ブラッドリー、イアン・ポールター、ジェイソン・ダフナー、そしてベルント・ウィスバーガーらに使用されてきた。
「あのパターのPGAツアーにおける使用率が5割ほどになったのを知りましたが、そこにはしっかりとした理由があるのです」と、タイトリスト のパター伝道師、スコッティ・キャメロンは述べた。「ヘッドのサイズが大きいのでグリーン上での見た目もフィーリングも安定するのです。ヘッドが大きければ、それだけアラインメント用の線を入れることができます。我々はX5の開発過程で、多くの選手たちとツアーの大会やパタースタジオで一緒に仕事をしましたが、彼らは皆同じことを言っていました、『信頼感が高まった』と」。
このパターには2つのモデルがあり、303ステンレススチール削り出しのボディとハイグレードな6061アルミ製ソールプレートから成るマルチマテリアルデザインとなっている。アルミ材はウィング部分へと繋がるパター中央部分にも使用されている。
パターにアルミ材を加えることにより、キャメロンはソールプレート近辺の空洞化を実現させ、これによりウィングへ重量を分配することができ、安定性を向上させる慣性モーメントが大幅にアップしている。