続々スイッチ「SM10」 T、M、K…みんなのソールは?/米ツアーで見つけた最新ギア
◇米国男子◇WMフェニックスオープン◇TPCスコッツデール(アリゾナ州)◇7261yd(パー71)
2024年も各社から新製品が次々と発表されている中で、PGAツアーで発見した最新ギア情報をアップデートしたい。選手のキャディバッグの中身を撮影していると、タイトリストのウェッジ、ボーケイデザイン「SM10」の多さが目立つ。同社契約外の選手も含めた多くのプロが新ウェッジにスイッチしているようだ。
契約選手でいえば、ジョーダン・スピースが46、50度(ともにF)、56度(S)、60度(T)をすべて新しいSM10へ(カッコ内はすべてグラインドのタイプ)。マックス・ホマは、46、50、56度(すべてF)をSM10にし、60度(L)は「ウェッジワークス」へ。ルドビグ・オーベリ(スウェーデン)は60度(M)をSM10に変更した。ウェッジワークスはいわゆるSMシリーズのプロトタイプで海外に使用選手が多い。
契約外の有名どころでいえば、ザンダー・シャウフェレが、57度(S)をSM10、60度(K)はウェッジワークスに。スコッティ・シェフラーが、56度(F)と60度(T)をSM10に。ジェイソン・デイ(オーストラリア)が、52度(F)と56度(S)をSM10に、60度(A+)をウェッジワークスに変更した。
ツアーシーディング(選手への配給)は年明けに始まった。1カ月あまりでこれだけ多くの選手がスイッチすることが、その性能の良さを物語っているだろう。それにしても「SM9」から何が変わったのか。メーカーの発表では、大きく変わったのは2点。まずその見た目。PWとAWはアイアンからの流れを考えてリーディングエッジがより真っすぐに、一方でSWとLWは、PWとAWに比べてラウンド形状が強くなり、球を拾いやすくフェースを開きやすくした。もう一つの進化は重心の位置。前作より重心を高く、かつ前に持っていくことで、球が低く出つつもスピンがかかるようになった。
シャウフェレはまさにこの進化を語っている。「丸く見えるようになって、構えやすくなったし、開きやすくもなったよ。スピンが前より入るようになった」
ホマは球の低さに言及。「僕は球が低く出るのが好きなんだ。新しいウェッジを試すときは、『自分でつかまえにいかずともちゃんと低く出るか』、まずはそこを見る。SM10は申し分なかったよ」。ホマは自分のアプローチを「ピンチカット」と呼んでいて、いわゆる「低く出て、スピンが入って、わずかに右に落ちる球」で距離感を作っている。「SM10はまさに、そのほんのちょっと右に落ちる球が打てる。その球が出るならば、僕はハッピーなのさ」
今回は「L」グラインドがなくなり(プロ用には存在する)、新たにトレーリングエッジ(ソールのバックフェース側)とトウ・ヒールを落とした「Tグラインド」がツアーでは主力となっている。バウンスは4度。なかなか素人には難しく見えるが、フェースを開いて自分でバウンスを作れるプロにとっては、バウンスがあり過ぎると邪魔になってしまうのだろう。
オーベリなどバウンスをやや使いたいプロは、「Mグラインド」を使っている。一方でシャウフェレはバウンスをしっかり使いたいので「Kグラインド」と、ソール幅はかなり広い。アプローチで使うような60度前後のウェッジ(LW)はだいたいT、M、K、S(フルソールのFからトレーリングエッジをやや落としたモデル)に分かれている。
日本での発売は3月予定。追加情報を待たれよ。(編集部/服部謙二郎)