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【WORLD】気になるR.マキロイの契約先…ギアチェンジのリスクと報酬

Golf World(2012年11月8日号) texted by Michael Johnson

ロリー・マキロイがタイトリストとの契約を延長しないというニュースにより、この動きはマキロイのゴルフに悪影響を及ぼすという憶測が沸き立ったが、どうやら“その後の変更”は起こりそうにない。タイトリストとマキロイが契約期間満了を受け、再契約しないことに合意した後、メディアの中には、そうすることの落とし穴を指摘するものがいた。

ニック・ファルドは、新たな契約先が世界No.1にとって何を意味するかについて提言している。ゴルフチャンネルに対して「危険だと思う」とコメント。「私もこれまでクラブを替えてきた。どのメーカーも『あなたのクラブと同じものを作る。ボールも微調整するから、あなたに合うはずだ』と言う。しかし、そこには選手個々のフィーリングやクラブの音も影響を及ぼすんだ。そして“信頼”というものもある。(契約変更が)本当の価値を注入することはできないんだよ。これはプライスレスなことだから。本当に気をつけなければいけない」。

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ファルドが用具について、当時一番のこだわりを持つプレーヤーであったという事実もあり、その主張はより誇張されているかもしれない。このメジャー6勝の実力者と、この件で議論するのは難しいことだ。彼は各メーカーが特定の用具を選手に使用するよう要求していた時代にプレーしていたし、大型の用品契約を結んだ後、そういう状況で苦戦していた選手も確かに多かった。

当時のペイン・スチュワートもそんな中のひとりだった。1994年にウィルソンからスポルディングに移り、5年700万ドルの契約によりアイアンを鍛造から鋳造のオフセットのついたものに変更され、糸巻きボールとは程遠いトップフライトの2ピースボールの使用を強要された。スチュワートのようにフィーリングを大切にしていた選手にとっては、結果は最悪だった。1993年に100万ドル近く(賞金ランク6位)を稼いだが、翌年は14万5,687ドルしか獲得できずランキングも123位と散々なものとなった。

この他にも、リー・ジャンセンコーリー・ペイビンもクラブを変えて苦戦した。スチュワート同様、ジャンセンは1994年に契約先を変更。1993年に全米オープンを制したときはファウンダースクラブの用品を使用していたが、ベン・ホーガンに。契約ではH40という周辺重量配分を施されたアベレージゴルファーをターゲットにした鋳造アイアンを使わされた。するとジャンセンの成績はすぐに悪くなり、数か月後に彼自身がメーカーに対してエイペックスの軟鉄ブレードアイアンでプレーできるように懇願した。

もっと苦しんだのが1995年の全米オープン覇者ペイビンだ。クリーブランドを離れ、1997年にPRGRと契約すると、その直前6シーズンで賞金ランク18位以下になったことがなかったが、そこから7年間で賞金ランク100位以内に入ったのがわずかに1度。その後のキャリアでも同70位以内に入れなかったのだ。

こういったゾッとする話をすると、ファルドの主張も一理ある。しかし、マキロイに同様のことが起こる可能性は色々な理由もあり、少ないはずだ。

第一に、メーカーが選手を“特定の製品”で縛るのはハイリスクだ。選手が良い成績を収めなかったらメーカーも打撃を受ける。そのため、最近のメーカーは、目玉選手を特定商品の売り込みではなく“ブランド”を拡げる役割として使う傾向がある。

ツアー担当によれば、20年前だと、選手たちはどんなクラブを使うか見る前に契約を提示され、代理人がその契約を締結していたという。だが今では選手たちは、メーカーから契約提示される前に大々的に用具をテストしている。単に、気に入らないクラブを使っている選手を抱えることなど意味のないことなのだ。

また金銭的な面でも変化がある。スチュワート、ジャンセン、そしてペイビンが契約を変更したころは、ゴルフで獲得する賞金よりもメーカーとの契約金の方が高かった。マキロイのケースも確かにそうなのだろうが、これは大多数の選手に当てはまることではない。そのため、お金のために用具を変えるのは、ごく一部の選手に限られているのが現状。加えて、契約変更した選手には、ニュークラブで成功するチャンスも広がっている。

現在では当時に比べ、製造工程が進歩し各メーカーの精度の誤差も少ない。つまり選手にあったスペックのクラブがより作りやすくなっているのだ。また、ここ10年でフィッティングの技術も大変進み、クラブとクラブの移行をシームレスにする有用なデータの取得もできるようになった。

タイガー・ウッズはナイキに変えてからメジャー勝利を多く重ね、フィル・ミケルソンはヨネックスからタイトリストになり初のメジャーを奪取。そしてキャロウェイに移り3つのメジャー制覇を成し遂げた。さらにアーニー・エルスは、1994年の全米オープンをリンクス、1997年と2002年の全米オープンをテーラーメイド、2012年の全英オープンをキャロウェイのクラブを使ってそれぞれ勝利。4つのメジャーを3つのメーカーのクラブを使って優勝したのだ。つまり、ファルドの言葉に関わらず、マキロイも同じような成功を収める可能性は十分にある。

米国ゴルフダイジェスト社提携
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