屋内ゴルフTGLは盛り上がってるのか? 現地観戦で詳細リポート

TGL
新感覚ゴルフ「TGL」に行ってみた

◇TGL presented by SoFi◇第3戦(21日)◇ニューヨークGC × アトランタドライブGC◇SoFiセンター(フロリダ州)

ロリー・マキロイ(北アイルランド)とタイガー・ウッズの共同発案で生まれたインドア型の新ゴルフリーグ「TGL(Tech-Rich Golf League)」。1月7日に開幕し、3試合を消化した。日本でも動画配信サービスで観戦できるが、バーチャルとリアルの融合って、現場の盛り上がりって実際のところどうなの? 第3戦を現地で観戦し、感じた雰囲気、様子をリポートする。(取材・構成/服部謙二郎)

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◇◇◇

TGLはPGAツアーのトップ選手24人が4人ずつ6チームに分かれて行うリーグ戦。試合は2チームが3人ずつ出場し、マッチプレー形式で15ホールを争う。コースは、ドライバーショットなどを巨大スクリーンに向かって打つモニターゾーン(ここがバーチャル)、50yd以内のショートゲーム用で人工芝グリーン中心のグリーンゾーン(ここがリアル)に分かれる。前半9ホールは3人が交互にボールを打つ「トリプルス」、後半6ホールは3人が2ホールずつプレーする「シングルス」。各ホールの合計ポイントで勝敗を競う。

会場はパームビーチ州立大学に新設されたアリーナ「SoFiセンター」。客席はホールを取り囲んで1、2階席があり、収容人数1500人。筆者はグリーン奥側の1階席の2列目に陣取った。選手は目と鼻の先。臨場感あふれる中でショーを見た。

最安値シートはソールドアウト

まずチケットの話から。TGLのホームページから探ると、「ticketmaster(チケットマスター)」というサイトに案内されたが、最低160ドルの席はソールドアウト…。3月に上位4チームによるプレーオフが行われるが、その前のレギュラーシーズンの全試合が売り切れていた。キャパ1500人の規模だけにすぐ埋まってしまうのか。

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大会関係者によると一度売られたチケットがリセールで出回るという。実際にリセールサイトで販売されているチケットを見ると、現地時間1月27日(月)夜の「ジュピターゴルフリンクス」VS「ボストンコモンゴルフ」戦は元値160ドルの席が最低370ドルだった。ジュピターのタイガー・ウッズ、ボストンのロリー・マキロイがナマで観られるなら、払ってもいいか…。なお巨大スクリーンに近い1階席は転売価格1274ドルだった。

一方、1階より2階が高い印象だ。1階は臨場感があるが、2階のほうが見やすいからか?確かに筆者のグリーン奥の席はスクリーンと真反対でドライバーショットなどがよく見えない。周りの人はスマートフォンで中継を見ながら観戦していた。

すべて電子チケットで、スマートフォンにQRコードを表示して中に入る。紙のチケットを記念にとっておきたいと思ったのに…。

NBAみたいに選手が近い

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グリーン奥の1Fからの見た目。選手は近い

周りのギャラリーに聞くと、TGLはNHL(アイスホッケー)やNBA(バスケットボール)を観る感覚に近いらしい。結果に一喜一憂するより、雰囲気を楽しむ。場内は音楽が流れ、実況レポーターが選手に話を聞いたりして場内を盛り上げる。客席ではスタッフが、「アトランタ―」所属のジャスティン・トーマスがポケットからぶら下げているのと同じオレンジのタオルを振り回し、客をあおる。

座席によるが、選手に近いのは魅力だ。肉声が聞こえる。トーマスは試合中にグリーンから筆者のすぐ近くまで来て、会話していた。通常のトーナメントなら、どこかのホールで定点観測するイメージだろうか?

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1ホール完了ごとにカップを切り直す

ロングショットを打ち終えた選手はグリーンにやってくると、ライトで赤く照射された場所にボールを置く。人工芝グリーンは思ったより速い。転がりもスムーズ。グリーン周りの芝も含めてかなり上質に見える。バンカーはオーガスタと同じ砂を使っているという。芸が細かいというか、やることがいちいちニクい。

驚いたのはグリーンが360度回転すること。ホールアウトした選手がモニターゾーンに移動すると回り始め、どこからともなく現れたグリーンキーパー(?)が回るグリーン上でカップを切りなおす。選手が次のティショットを打っている間に、サッと作業を終えていた。毎度グリーンを回し、ピンを切り直すから、グリーン周りは変化する。それでも何度も戦っていれば、いつか同じようなラインに出合うこともあるだろう。

それにしても人工芝でどうやってカップを切り直すのか?気になって仕方がなかった。

2時間は物足りない?

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選手が打った後の芝が置かれていた

ゲームはスピーディだった。選手の1打の持ち時間「40秒」はショットクロックで表示されるが、だいたい20秒ほどで打ち終わる。一番時間のかかるキャメロン・ヤングで平均25秒ぐらい。午後7時スタートの試合は9時前、予定の2時間より早く終わった。「もう少し見たかった」と少し物足りなさを感じたのは筆者だけではないと思う。

残念だったのは、今回「ハンマー」の場面がなかったこと。ホールのポイントを倍にできるシステムで、ギャンブルでよくある“倍プッシュ”みたいなもの。試合の流れを変える要素だから、会場が盛り上がるのを期待していたが「アトランタ―」の一方的な展開になったためか、機会がなかった。

会場が高級住宅地の点在するウェストパームビーチにあるためか、客層がいい。身なりもちゃんとしていてかなり上品。お酒を飲んでいるものの、声援もやさしい。ブーイングもあったが、悪意というより、試合を楽しむためにあえて選手をあおっているように感じた。試合後の混雑もなかった。

会場内にある唯一のグッズ売り場はまだ小規模だ。各チームのポロシャツやTシャツ、帽子などが売られていた。ボストンコモンのポロシャツはグレイソン製でカッコよかったが、金額を見て手を引っ込めてしまった(127ドル)。

バーチャルの課題も見えた!?

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試合後の勝利インタビューはチームで

試合後、地元のプロゴルファーに感想を聞いてみた。

「すごく面白かったし、あっという間の2時間だよね。選手との距離も近いし、何より自分が動かないでずっとゴルフ観戦できるシステムがいい。ただ、もうちょっと選手の真剣さが欲しいかな。やっぱり興行的な感じがするからね。40秒の持ち時間を20秒にしたら、選手たちももっとおもしろくなるんじゃないかな」

選手はバーチャル、リアルとはいえ人工的なグリーン周りをどう感じているのだろう。ショット後にモニターを見て首を傾げていたマシュー・フィッツパトリック(イングランド)は「思っているイメージと実際に映し出される弾道が完全に一緒じゃないかもしれない」と言い、バンカーに関しても「完全に寄ったと思ったショットも、ショートしていた。少し調整が必要かな」と話していた。リッキー・ファウラーはグリーンについて「真上からライトが照らされているので、ラインを読むのが何回か難しいときがあった。推測で打っているようなパットもあった」と話した。アトランタ―のビリー・ホーシェルは前日に練習ラウンドをしたという。

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入り口付近に設置された各チームのロゴ

◇◇◇
TGL第4戦目は、現地時間1月27日(月)の午後6時30分(日本時間28日午前8時30分)から行われる。ウッズ率いる「ジュピターゴルフリンクス」VSマキロイ率いる「ボストンコモンゴルフ」(ボストン―の松山英樹は出場しない)で、前半戦の目玉カード。現地は大いに盛り上がるはずだ。

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