「いま僕はココにいます」Vol.74 中国編
人は彼のことを“旅人ゴルファー”と呼ぶ。川村昌弘・26歳。2012年のプロデビューから活躍の場は日本だけでなく、ユーラシア大陸全土、そのまた海の向こうにも及ぶ。幼い頃から海外を旅することこそが夢で、6年間のプロ生活で巡った国の数は実に40に到達。キャディバッグとバックパックで世界を飛び回る渡り鳥の経路を追っていこう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
プロゴルファーの川村昌弘です。
いま僕は、上海にいます。
1週のオフを挟んで中国での「WGC HSBCチャンピオンズ」に出場します。近年、欧州ツアーの「ボルボ中国オープン」には参戦してきましたが、この世界選手権シリーズは2013年以来になります。
主戦場にしている欧州ツアーはシーズンが佳境で、今週からビッグトーナメントが連なります。夏場以降、今大会に出るために台湾、インドに渡り、出場試合義務のハードルをクリアしてきました。アジアンツアー賞金ランキング上位者の資格を手にするためには、ツアー単体のトーナメント(欧州や日本など、他ツアーとの共同開催ではない試合)に2試合出る必要があったんです。結果的に“無駄足”にならずにホッとしています。
開幕2日前に練習ラウンドをしました。6年ぶりのシェシャンインターナショナルGCはほとんど変化がないように見えますが、自分自身が圧倒的に変わったことを実感できます。飛距離が伸びて、当時「長いホールだ」と思っていたところが短く思えたり、第2打のロケーションが違ったり…。環境は人を変えるとよく言います。海外で「しっかり振っていかないと勝負できない」ということを学んできました。紆余曲折あってここに戻ってきましたが、世界を巡り巡って良い方向に進んでいるのではないかと思います。
今週はジュニア時代からの同級生、浅地洋佑選手も一緒に出場します。高校3年生のときに日本ツアーの予選会を受けて、ふたりとも卒業後すぐにプロとしてレギュラーツアーを戦い、シードをとった仲間です。ことし初優勝、2勝目を挙げた洋佑のほうが苦しい時期が長かったかもしれません。WGCでの“再会”はなんとも言えない気分になります。
直前の試合だった「日本オープン」でも、うれしい出来事がありました。前回古賀ゴルフ・クラブで行われた2008年大会は、中学3年生だった僕が初めて出たツアーの試合。当時、バッグを運んでいただいた女性キャディさんが今回応援に来てくださったんです。すごく控えめな方なので、ホールアウト後にサインボールを手渡しに行ったのですが、泣いて喜ばれて…。それだけで一時帰国したかいがありました。残り試合は来シーズンの行方も占う大事なゲームばかり。支えてくれるたくさんの人のためにも頑張ります。
〈今週のディナー〉
上海ですからもちろん中華! チームのみんなで食べてきました。北京ダックは268元(約4130円)。さすがの本場の味です。