「いま僕はココにいます」Vol.182 バーレーン編
人は彼のことを“旅人ゴルファー”と呼ぶ。川村昌弘・30歳。2012年のプロデビューから活躍の場を海の向こうに求め、キャリアで足を運んだ国と地域の数は実に70に到達した。キャディバッグとバックパックで世界を飛び回る渡り鳥の経路を追っていこう。
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プロゴルファーの川村昌弘です。
いま僕はマナマにいます。
今週のDPワールドツアー(欧州男子ツアー)は「バーレーン選手権」。欧州ツアー6年目、アジアも含めてプロとして海外に出てから10年近くになりますが、まだありました、初訪問の国。2020年にキプロスに行ったとき、「このツアーにいる限り、もう増えることはないかなあ」と思っていた降り立った国の数が1つ増えました。
とはいえ、先週までいたアラブ首長国連邦・ドバイからは飛行機で1時間の距離にある同じ中東の国で、なんだか初めて来た気がしません。カタールにも、オマーンにも似ているようで…。ランチもディナーも世界中の食べ物が集まっている印象です。
ただ、1月31日の夜には、カタールで開催中のサッカー・アジアカップで日本代表がバーレーンと対戦。ホテルのフロントでパスポートを出した瞬間、カウンターの現地男性が「日本人か!」と興奮していました。気候は抜群に良く、日中の気温はドバイが26℃以上あったのに対し、こちらは20℃台前半。レンタカーの後部座席の窓が“手動”なのには少々驚きましたが。
それにしても、ここ2週は「ゴルフっておもしろい」と改めて感じさせられる連戦でした。「ドバイデザートクラシック」で7位に入ったかと思えば、先週の「ラアス・アル=ハイマ選手権」は78位と低迷。調子がそこまで大きく上下したわけではないのに、結果に大きく差が出ました。
「ドバイ―」では2日目に50台が出そうな「63」。対して「ラアスー」の最終日「77」は80台を叩きそうなムードにもなったんです。好スコアが出るコースにもかかわらず、11ホール終了時点で8オーバーと“逆噴射”。「80は打ちたくないぞ」と思いつつ、序盤から曲がりまくったドライバーショットが改善されないまま、残り7ホールで3つバーディを決めて冷や汗のホールアウト。同じ人が回ったとは思えません…。そして、とくに修正を施すことなく練習を始めたバーレーンの会場ロイヤルGCでは、またボールが真っすぐ飛ぶのです。うーむ。
2週続けて、今季から欧州ツアーに参戦した中島啓太選手と一緒にコースチェックをしました。先週、いきなり4位に入るさすがの実力です。日本ツアーの若き賞金王。メディアを通じて、とにかくストイックで、寡黙なイメージを持っていましたが、彼もホントに、ただゴルフがめちゃくちゃ好きな人(笑)。上手な後輩が海を渡ってきたというよりは、ゴルフ好きの日本人がまたひとり増えた感じがしています。
同じ週、PGAツアーでは「ファーマーズインシュランスオープン」で長年の友人がビッグタイトルを手に入れました。昨年まで10年近く欧州ツアーでプレーしていたマチュー・パボン(フランス)は同10月に悲願の初優勝(スペインオープン)。苦労を重ねて米ツアーに進出するや否や、すぐにトップ選手の仲間入りを果たしました。モーリシャスをはじめ、かつてたくさんの国で一緒にプレーしたことを思い出すと、感慨深いものがあります。プロゴルフはやはり一瞬で人生が変わるものです。