「いま僕はココにいます」Vol.146 イングランド編
人は彼のことを“旅人ゴルファー”と呼ぶ。川村昌弘・29歳。2012年のプロデビューから活躍の場は日本だけでなく、ユーラシア大陸全土、そのまた海の向こうにも及ぶ。幼い頃から海外を旅することこそが夢で、キャリアで巡った国と地域の数は実に70に到達。キャディバッグとバックパックで世界を飛び回る渡り鳥の経路を追っていこう。
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プロゴルファーの川村昌弘です。
いま僕は、サウスポートにいます。
今週は欧州ツアー(DPワールドツアー)「カズークラシック」に出場します。会場のヒルサイドGCはこれまで「全英オープン」の予選会などが多く開催され、ツアー選手たちの間でも「すごく良いコース」と評判が高いゴルフ場です。
スコットランド・エジンバラでの「ジェネシス・スコットランドオープン」の後、前週はオフをイングランド・ロンドンで過ごしました。しばらくはレンタカーでの旅が続きます。
それにしても…、最近はちょっと参っています。ここ数年、下がっていた物価が英国でもいよいよ復活、いやビックリするくらい上がっているのです。
コロナ禍では1泊1万円以下で宿泊できていたホテル。今回もロンドン近郊で定宿にしている、グリニッジのテムズ川近くの部屋を予約するべく価格を調べると、うーん、6泊で24万円…。ネットでお気に入りのホテルチェーンのどこを探しても1泊3万円前後するのです。
そういえば、今月初めに「全英オープン」の予選会のためスコットランドで2日間だけ借りたレンタカーは500ポンド(約8万2500円)もかかりました。原油価格の上昇も原因でしょう。英国と日本のフライトチケットを調べてみても、エコノミークラスで往復50万円以上するのが今は珍しくありません。どこに行くにも、2年前の3倍以上はかかる感覚です。
結局、先週はいつものグリニッジに泊まるのはあきらめて、ロンドンの西側に位置するイーリングという街の近くに滞在。初めて来た地域でしたが、ここも正解でした。ヒースロー空港にも近く、日本人も多く住んでいて、おいしい韓国料理レストランも発見しました。ホテルは6泊で約14万円。まあ、悪くありません。
それに10㎞圏内にゴルフ場も多くあり、ずっと行ってみたかったイーリングGCでも練習することができました。欧州でもインターネットでゴルフ場を予約できます。ツアー選手はほとんどのゴルフ場を自由に回れるのですが、いちいち電話しなくてもいい、ネット予約はやっぱり何かと便利。現在も1ラウンドを40ポンド(約6600円)以下で回れるところがほとんどで、多くが事前決済のため、コースに行って手引きカート代5ポンド(約825円)を払ってセルフでプレーするという手軽さがあります。
午前7時にスタートしても9時半には18ホールを回り切ることが可能。前の組で詰まることも、あまりありません。プレー後に午前中にはホテルに戻り、午後はトレーニングといったふうに一日を有効に使えるのが、海外のいいところ。東京など日本の都市ではではなかなかこうはいきませんよね。
イーリングGCで1人でプレーしていたら50代の男性に声をかけられ、途中から一緒にプレーしました。話を聞くと、オーストラリアから来たシニアプロとのこと。昔、この地域に住んでいた経験があり、今回は今週の「全英シニアオープン」の予選を受けるために、南半球からはるばるやってきたそうです。「練習して、近くでアイアンのフィッティングに寄ってから、スコットランドに向かうんだ」というタフさ…。物価は大変な英国ですが、やっぱりゴルフの環境に恵まれているのを実感するのです。