旅人ゴルファー川村昌弘 欧州で受ける祝福の嵐「松山さん誇らしい」
人は彼のことを“旅人ゴルファー”と呼ぶ。川村昌弘・27歳。2012年のプロデビューから活躍の場は日本だけでなく、ユーラシア大陸全土、そのまた海の向こうにも及ぶ。幼い頃から海外を旅することこそが夢で、キャリアで巡った国と地域の数は実に70に到達。キャディバッグとバックパックで世界を飛び回る渡り鳥の経路を追っていこう。
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プロゴルファーの川村昌弘です。
いまぼくはウィーンにいます。
欧州ツアーは3週ぶりの平場の試合。「オーストリアオープン」で再開します。以前、観光では足を運んだことがありましたが、大会に出るのは初めて。空港からは1時間で会場につきました。コロナ禍でウィーンのダウンタウンに足を運べないのが残念でしたが…。
会場のダイヤモンドGCはツアー公認コースでもあり、出場経験のある選手にとってはなじみ深いゴルフ場。それにしても…寒いんです! ほんとに体に悪いくらい…。ここまで練習日の気温は4℃。雪が混じる雨の予報も出ていて、スマホで見た体感気温はマイナス1度です。日本ツアーにチャレンジした経験のある外国人選手も「12月の日本のQTみたいだな…」って話していました。
さて、さて! 松山英樹選手、おめでとうございます!
僕はちょうど「マスターズ」の最終日が成田、ドーハを経由したフライト中で、試合を見ることができませんでしたが、3日目までの結果を見て「勝てなかったというニュースを見ることはないだろう」と、ある意味で安心して飛行機に乗りました。
優勝して「ビックリ」は内心、正直ありません。それだけの選手ですから。ナショナルチーム時代は小平智さんも含めて、一緒に遠征に行ったこともありました。でもそこからの快進撃がスゴすぎて。2011年の「マスターズ」に出場して、世界を見たからこその努力があの日まで続いたんだと思います。
キャディの早藤将太は同い年で、少ないながらも一緒にプレーしたこともありました。試合後の“一礼”がクローズアップされていますが、「計算して、カッコつけて」やるようなタイプではありません。ホントに気さくでイイヤツで。何気ない行動だったはずです。
松山選手はPGAツアーで、世界のトップレベルで常に高いレベルをキープしてきたので、決して“まぐれ”で勝ったわけではありません。でも、まだ僕はまだまだそのレベルに達していない。ただ、ゴルフは世界ランキング1位の選手も、優勝候補筆頭の選手も予選落ちをするようなゲーム。僕はそんなときの“まぐれ”や“奇跡”を起こす準備をするために欧州に来ました。もちろん僕も松山さんに少しでも近づけるようになりたい。そして、若い頃から海外にすぐに来るような選手がどんどん出てくるような環境になることを期待しています。
オーストリアで、他の選手に会うたびに「ヒデキ、やったな!」と声をかけられています。本当にスゴイことなんだ、快挙なんだ、と改めて実感します。何て返せばいいのか…と思いつつ、僕は「サンキュー」と(笑)。僕が勝ったわけじゃないんですけどね。それでも、本当に誇らしく思います。