「いま僕はココにいます」Vol.103 アラブ首長国連邦編
人は彼のことを“旅人ゴルファー”と呼ぶ。川村昌弘・27歳。2012年のプロデビューから活躍の場は日本だけでなく、ユーラシア大陸全土、そのまた海の向こうにも及ぶ。幼い頃から海外を旅することこそが夢で、キャリアで巡った国と地域の数は実に70に到達。キャディバッグとバックパックで世界を飛び回る渡り鳥の経路を追っていこう。
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プロゴルファーの川村昌弘です。
いまぼくはアブダビにいます。
2021年の欧州ツアーが21日(木)に開幕します。アラブ首長国連邦での「アブダビHSBC選手権」。前年12月の最終戦「DPワールド ツアー選手権 ドバイ」から一時帰国して、三重の実家で年末に隔離生活を経験してからまたUAEに戻って来ました。いまは数少ないフライトから、奇跡的に残っていたドバイへの直行便を選んで出国です。
プロデビューから10年目の今年、開幕戦で頼もしい相棒が帰ってきました。プロキャディの坂井恵さん(メグさん)が昨年3月、シーズン中断直前のオマーンの試合以来の復帰です。昨年夏場の再開後は新型コロナウイルス感染拡大による混乱を心配して、男性マネジャーにバッグを担いでもらいましたが、今年は改めて2人で欧州初優勝を狙います。
メグさんは昨年の帰国後、仕事がなくなってしまったためさっそくアルバイトを始めました。感染リスク対策が日常的に取られていそうな職場として選んだのが、地元・福岡の精肉工場。豚肉を毎日パックに詰めたりして、数カ月で持ち前の責任感から“バイトリーダー”にまで上り詰めたらしく…。
それでもキャディをやめることは考えなかったそう。僕も帰ってきてくれるはずだと思っていたので、別のプロキャディさんにオファーすることもありませんでした。精肉工場さんには惜しまれつつも、元気に復帰してくれたことを喜ばしく思います。
UAEでも年明けから新型コロナ感染者が増えています(新規感染者数が1日3000人以上で推移)。毎試合のPCR検査をはじめ、厳しい感染対策をとっている欧州ツアーからは「ドバイ空港からはレンタカーでどこにも立ち寄らずにアブダビまで来るように」という通達もありました。様々な制限のもとでの旅はまだ続きそうです。
今週は高額賞金のかかるロレックスシリーズの1試合で、ロリー・マキロイ(北アイルランド)やジャスティン・トーマスも参戦。フィールドが強い分、上位に行けばポイントもたくさん獲得できます。その中で、開幕前日にはプロアマ戦にも参加することができました。いいスタートを切れるよう頑張ります!