「いま僕はココにいます」Vol.99 キプロス編
人は彼のことを“旅人ゴルファー”と呼ぶ。川村昌弘・27歳。2012年のプロデビューから活躍の場は日本だけでなく、ユーラシア大陸全土、そのまた海の向こうにも及ぶ。幼い頃から海外を旅することこそが夢で、9年間のプロ生活で巡った国の数は実に40に到達。キャディバッグとバックパックで世界を飛び回る渡り鳥の経路を追っていこう。
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プロゴルファーの川村昌弘です。
いまぼくはキプロスにいます。
「アフロディーテ ヒルズ キプロスオープン」に続いて、今週は同じコースでの「アフロディーテ ヒルズ キプロスシュートアウト」に出場します。初めて訪れたキプロス。宿泊ホテルも含めて会場のあるリゾートに“軟禁”状態ではありますが、今大会はなんといっても試合の形式が普段と違って、一風変わったゲームになるはずです。
試合には105人が出場し、最初の2日間36ホールの結果で上位32位タイまでの選手が3日目に進みます。ここで前日までのスコアは一度リセットされ、新たに18ホールをラウンドし、最終日に進出する上位16位タイまでの選手を決めます。この最終日も前日までのスコアは関係ありません。16人(以上)が全員イーブンからスタートし、優勝を争います。
欧州ツアーでは第3ラウンドを終えた段階でもカットを設ける試合がいくつかあります。僕はこの方式に慣れず、しかも今回はスコアがリセットされるということで、実は乗り気ではありませんでした。「4日間72ホール」というペース配分への長年のイメージが強いからでしょうか…。しかし練習ラウンドの間に、別の選手のキャディから「何を言ってんだ! エンジョイ!ニューフォーマット」と、かけられた声で我に返りました。新しい試みを楽しむ、という気持ちを忘れていたと反省したんです。
ある意味では予選や前のレースまでのタイムを持ち越さない、陸上競技や水泳に近い方式かもしれません。2日目、3日目とビリで次のラウンドに進出しても、普段よりも優勝の確立はぐんと高い。最終日に16人が首位で並んでスタートし、誰が勝つか分からないという大会は普段ほとんどないはずです。もちろん、予選をぶっちぎりで通りながら、最終日にビリになる可能性もあります。“新様式”をマイナスに捉えかけていましたが、プラスに考えて楽しみたいと思います。
<今週のランチ>
キプロスはトルコの南に浮かぶ、日本の四国の半分ほど(9251平方km)の小さな島。公用語はトルコ語とギリシャ語とのことですが、ホテルでは英語で不自由ありません。アフロディーテ ヒルズ リゾート内では選手・関係者に毎食ブッフェ形式で食事が振る舞われます。サラダからスープにメイン、総菜やデザートコーナーもあってかなり充実。すべてが宿泊代に含まれます。欧州の料理はもちろん、アジア料理や和食も用意されていて、料理人にはフィリピンの方も数人いました。中東も近く、西欧の文化だけではない印象。コメの料理もいくつかあって、豊かな食文化を感じました。