らかな眼差しの奥に潜ませてきた情念。海の向こうに広がる景色に、いつか自分を重ねたい―――その思いは10年のプロ生活で、じっくりと根を張り、真っすぐに伸びた茎の先で蕾になった。2018年、片岡大育は日本を飛び出し、戦いの場をアジア、欧州に求めた。「ヨーロッパでやることを考えたとき、最高の状態で行かないといけない。道具もカラダも妥協できない。すべてを整えないといけないんです」彩色豊かなウェアを脱ぎ捨てた裸身は、ひとりのプロゴルファーとしての生き様を語っている。

スリートに求められる「心技体」の3要素。その序列は、年を重ねるにつれて変化してきた。「まずは心。『こうやりたい、こうありたい』と思うことからスタートした。そこから技を磨いた。けれど、テクニックが身につけばつくほど、カラダが未熟なことに気づき始めた。やっぱりプロゴルファーにとってはカラダが第一。その次に技。そこに心がついてくる」

長167cm。野球少年だった頃からカラダは大きくなかった。中学生でクラブを握ってからも、ライバルたちの顔は多くの場面で目線より上にあった。ただ、それに怯んだことはない。屈強であるべきは“見せかけ”のつくりではないと知っている。「筋肉の量をもっと増やしたい。でも、それも動かせる筋肉でないと意味がないんです。ゴルフのスイングのために使える筋肉。動ける、戦えるカラダを僕は作りたい」夢はアジア、欧州を経て大西洋を渡り、いつの日かアメリカで戦うこと。大切に育んできた思いが花を咲かせるのは、頭に描く西廻り航路の終着点だ。

片岡大育 Daisuke Kataoka
1988年10月17日、高知県生まれ 2007年11月に19歳でプロ転向。日本でシード選手に定着する前から、アジアンツアーに積極的に参戦する。2015年「関西オープン」で初優勝を飾り、2016年「トップ杯東海クラシック」で2勝目をマーク。2017年「アジアパシフィック ダイヤモンドカップ」を制したことで日本とアジアンツアーの年間出場権を手にし、本格的な海外転戦を開始した。167cm、71kg、血液型O

写真/内田眞樹

(※)内田眞樹カメラマンは2018年5月11日に急逝されました。この写真は2月に撮影したものです。内田カメラマンのご冥福をお祈りいたします。

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