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2013年 AT&Tナショナル
期間:06/27〜06/30 場所:Congressional Country Club

<佐渡充高の選手名鑑 83>ケビン・ストリールマン

ケビン・ストリールマンは生粋のギャンブラー

今年3月の「タンパベイ選手権」で、PGAツアー出場153試合目にして初優勝を飾ったケビン・ストリールマン(34)。ストリールマンは、ノースカロライナ州にある米国屈指の名門校、南部のハーバードとも称されるデューク大学の社会学部を卒業している。多くの同僚はウォールストリートや上場企業へ就職していったが、ストリールマンは就職には興味がなくプロゴルファーの道を選んだ。しかしプロの道は険しく、6年間、ミニツアーを転戦。成績も上がらず苦難の連続で、突然スポンサーから契約解消を告げられ、口座残高が数万円という状況に陥ったこともあった。そこで一発逆転を狙い、ラスベガスで開催の“アルティメートゲーム”に出場を決めた。この“アルティメートゲーム”はカジノ王スティーブ・ウィンが、年に一回主催する優勝賞金約2億円という大博打イベントで、エントリーフィーも600万円と高額だ。このエントリーフィーでさえ支払うことのできないストリールマンは、シカゴ在住のスポンサーに賞金分配を約束し出資を頼んで参加した。この大会で優勝は逃したものの4位と奮闘し、スポンサーへの利益還元とともに、当面の転戦費用獲得に成功した。しかし通常の試合とは違い、失敗すれば多額の借金を負う正真正銘のギャンブル。彼のルックスからは想像しがたいが、全身の神経がヒリヒリするような勝負に挑む一面を持っている。

シード選手となった2008年、予選会から勝ち上がり出場権を得た「全米オープン」で、初日首位の好発進でその名を周囲に印象づけた。シード獲得直後の世界ランクは1354位、「全米オープン」直前は608位と上昇も、優勝予想では無印の存在だった。そして「全米オープン」を53位タイで終えると、世界ランクは182位へ上昇。そして今季初優勝を飾り、同ランクを36位に上げ、ようやく彼は世界のトップ50入りというプロゴルファー最高枠にまでのぼりつめた。

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■ プロ顔負けのミュージシャン

高校時代には吹奏楽部に所属しトロンボーン奏者として活躍したストリールマン。エレキギターも好きだが、転戦にはアコースティックギターを常に持参している。ツアーではアーロン・バデリーザック・ジョンソンら有志が集まり、毎週水曜日にクリスチャン集会を行っているが、信仰心厚い彼は必ず参加している。そこでギター演奏を披露するのが恒例で、その演奏を聴くのが楽しみという参加者も多いほどの腕前なのだ。ゴルフ以外のスポーツも好きで、高校時代はバスケットボール部とテニス部に所属。休暇はマウンテンバイクにスキーなど、多趣味で多忙な選手でもある。

■ ピア・ニールセン効果

ストリールマンがますます強くなった大きな理由は、アニカ・ソレンスタム宮里藍のメンタルコーチで「ビジョン54」で知られるピア・ニールセンとリン・マリオット、2人のサポートに寄るものだ。無我夢中でPGAツアーにたどり着いたが、タイガー・ウッズらスター選手のオーラに呑み込まれ、想定外のあらゆる出来事に精神面のテコ入れが必要だと感じたストリールマンは、同じアリゾナ在住のニールセンらに助言を求めた。「スコアはそんなに重要じゃない。選手として成功する方法はシンプル。早急に結果を求めず、淡々と自分らしくプレーするだけ」と穏やかさを取り戻した。イニスブルックという難コース37ホールでボギーなし、パーオン率80%と鉄壁のプレーを披露し、その成果は“初優勝”という形で見られた。さまざまな経験、修練を経て技術面と精神面がイン・シンク(同期)し始めたストリールマン。現在PGAツアーでは、彼の名前のストリールマンになぞらえて“Man of Steel(鉄の男)”と呼ばれている。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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