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2013年 WGC キャデラック選手権
期間:03/07〜03/10 場所:TPCブルーモンスターatドラール(フロリダ州)

<佐渡充高の選手名鑑 67>ジャスティン・ローズ

■ ドナルドやポールターの陰に隠れた実力者

昨年の「WGC キャデラック選手権」優勝者が、イングランドのジャスティン・ローズ(32)と言っても覚えている方はそう多くはないかもしれない。それはむしろバッバ・ワトソンが、最終ホールでスーパーショットを打ちながらも、逆転負けを喫した試合という印象が強いからだと思う。彼があまりクローズアップされない理由は、周囲の英国選手の個性や活躍の影響も少なくない。4歳年上のイアン・ポールターはその奇抜なファッションで注目を集めるインパクトが強い選手。昨年の「ライダーカップ」でも逆転勝利へのけん引役となった。また3歳年下のルーク・ドナルドは2011年、世界ランク1位にして欧米の賞金王に輝くという前代未聞の快挙を成し遂げた(昨年は北アイルランドのロリー・マキロイが世界ランク1位で欧米の賞金王に輝くなど注目を集めてしまった)。しかし、ローズの成績を見ると、現在欧州の選手では最も安定感を備えたプレミアプレーヤーであることが分かる。

■ 安定感はピカイチ

昨年は「WGC キャデラック選手権」で優勝を果たしただけではなく、トップ10に8回という安定感が光った。その中には「マスターズ」8位、「WGCブリヂストンインビテーショナル」で5位、メジャーの「全米プロ選手権」で3位、最終戦となる「ザ・ツアー選手権 presented by コカコーラ」でも2位という、ビッグトーナメントで上位の成績を残している。欧米両ツアーを掛けもつローズは、「ライダーカップ」で欧州の勝利へ貢献した後、欧州ツアーに参戦。「DPワールド ツアー選手権 ドバイ」、「アブダビHSBCゴルフ選手権」で、出場2試合連続での2位フィニッシュを果たすなど、相変わらず安定したプレーを続けている。2月の段階では一時、世界ランク4位という自己ベストも記録した。(※2013/03/04現在は5位)

■ 我慢のゴルフ人生

ローズがここまでハイレベルで、安定しているのは彼の“我慢”があったからだと思う。ジュニアで頭角を現したローズは、1998年の「全英オープン」で4位タイに入り、高校を中退して17歳でプロに転向した。しかしプロの試合は厳しく、21試合連続予選落ちを喫してしまう。この当時、高校を中退してプロ転向することは是か非か、という論争まで巻き起こったほどだ。2002年には唯一のコーチでもあった父ケンが、がんでこの世を去った。しかしローズはこの年、欧州ツアー「ダンヒル選手権」で初優勝を飾ると、同年に「ビクター・チャンドラーブリティッシュオープン」で2勝目を挙げ、さらには日本の国内男子ツアー「中日クラウンズ」での優勝と飛躍の年に変えた。2005年からは米ツアーに挑戦するも、2010年の「ザ・メモリアル」での初優勝までに、5年の歳月を要した。しかしこの勝利で勢いに乗ると、同年も「AT&Tナショナル」で2勝目を挙げた。翌2011年はプレーオフシリーズ「BMW選手権」で優勝し、ここまで3年連続で年間1勝を確実にキープしている。これは“我慢”と“継続”がローズの力であることは明らかで、このままのプレーを続けていれば、いつか脚光を浴びる日が来るはずである。

佐渡充高(さどみつたか)
ゴルフジャーナリスト。1957年生まれ。上智大学卒。大学時代はゴルフ部に所属しキャプテンを務める。3、4年生の時に太平洋クラブマスターズで当時4年連続賞金王に輝いたトム・ワトソンのキャディーを務める。東京中日スポーツ新聞社を経て85年に渡米、ニューヨークを拠点に世界のゴルフを取材。米国ゴルフ記者協会会員、ゴルフマガジン「世界トップ100コース」選考委員会国際評議委員。元世界ゴルフ殿堂選考委員。91年からNHK米ゴルフツアー放送ゴルフ解説者。現在は日本を拠点に世界のゴルフを取材、講演などに飛び回る。

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