<佐渡充高の選手名鑑 61>タイガー・ウッズ
■ タイガー今季初登場
今週からタイガー・ウッズが米ツアー参戦だ。プライベートな問題などでの欠場を除き、これまでタイガーは同大会を米ツアーの初戦としてきた。自身にとってシーズン開幕のファンファーレを鳴らすには最高の大会と言っていい。大会4連覇を含む通算6勝は群を抜く成績、相性も最高と言っていい大会からスタートすることで序盤から勢いをつけようという考えだ。
■ タイガーの狙う完全復活とは…?
昨年の3勝でタイガーはもう完全に復活したと見るか-。自身の本音と周囲の考えは“NO”だ。2000年、あの年間9勝という圧倒的な強さを経験した本人と、それを目の当たりにした人々にしてみたら、3勝ぐらい(年間3勝も凄いが)では納得できないだろう。タイガーも「またメジャーに勝ちたい」と話し、それに向けて練習を積み、試合数も増やして、できる限りの努力を続けている。タイガーにはまだ越えなければならない目標がある。まず1つ目は、現在メジャー14勝のタイガーは、ジャック・ニクラスの持つ最多優勝回数「18」を抜くことだ。そして2つ目には、通算優勝回数「74」で歴代2位となった今や、サム・スニードの持つツアー最多優勝「82」を抜けるかというところ。タイガーは、昨年の12月30日で37歳を迎え、目標達成に向けて充分に時間があるわけではないので、今年スパートをかけられるか否かはとても重要となる。その取っ掛かりとして、まずメジャーで1勝し、その勢いで世界ランク1位に返り咲ければ、その時初めて本人も周囲も完全復活を実感できるのだと思う。
■ マキロイが、タイガー復活のカンフル剤
タイガーの目標達成に向け、若きヒーロー、ロリー・マキロイ(北アイルランド)の存在は大きいと言えるだろう。2人は優勝争いを繰り広げるうちに親しくなりお互いを「チビ」「ハゲ」とまで呼べるほど近しくなった。プライベートでは一緒に食事をしたり、お互いのゴルフのエッセンスを分かち合ったりと技術向上に相乗効果をもたらしている。とはいえ、試合ではお互い容赦なくねじ伏せる意気込みは、トーナメントにまた新たな魅力を生み出してくれる。14歳年下の弟のようなライバルの出現で、タイガーにまた新たな闘志の炎が点ったように感じる。
■ 石川遼は新たな“地元大会に”
今大会が石川の2戦目となる。石川の西海岸の拠点はカリフォルニア州カールズバッドにある。大会会場サンディエゴ、トーレパインズGCからは車で15分程度の距離に位置する。拠点を作って間もない石川にとっては、まだ実感はわかないだろうが地元の大会となる。同、南コースは2008年の「全米オープン」会場でもあり、超難関コースとして有名だ。その南コースで石川は昨年「69」を2回、オーバーパー無しという底力を感じさせるプレーで13位タイと健闘した。さらに力を蓄え、条件も良くなった今年、どのような結果を出すか楽しみでならない。