2012年 ザ・ホンダクラシック

佐渡充高が簡単解説!初めてのPGAツアー【第二十七回】

2012/02/28 12:06
風が強いパームビーチ。写真後方の木々がここまで揺れる(Sam Greenwood/Getty Images)※写真は2010年

■ 「ザ・ホンダクラシック」の歴史

1972年からスタートし、今年で40年目を迎える。開始から1980年までの9年間は「ジャッキー・グレアソン・インベラリークラシック」として親しまれ、翌1981年からアメリカンモーターが冠に、さらに1982年から「ホンダインベラリークラシック」、1984年から「ザ・ホンダクラシック」として単独の冠となった。

■ “風のホンダクラシック”と呼ばれる理由は・・・?

このホンダクラシックから開催地は東海岸へ移るが、西海岸と東海岸では気象条件やプレーする上での芝の様子が全く異なる。西海岸はベントグリーンやポアナ芝が多く、比較的風も強くない、その上冬場にプレーするので暖かいイメージがあるが実際はそうではない。夏のイメージとは程遠く、ハワイは別にしてもむしろ寒いくらいであり、以前はウィンターツアーとも呼ばれるほどだった。しかしフロリダは東海岸だ。おそらくこの時期でも27、8度、加えて風も強い。特に「ホンダクラシック」の会場のパームビーチはフロリダの中でも風が強く、“風のホンダクラシック”と言われることもあった。93年、強風で第3ラウンドが中止になったことさえある。

今年はタイガー・ウッズが出場を表明している。開催コースのPGAナショナルというゴルフコースはとても素晴らしく、チャンピオンズツアーのメジャー「全米プロシニア選手権」なども当コースで開催される。ここは選手としてもプレーしておきたいコースであり、タイガーもそのひとりかもしれない。ジャック・二クラウスが設計したコースで、特に風が吹くとボギー、ダブルボギーを叩いてしまうような難しいコースでもある。選手にとっては忍耐を試されるところでもあり、ファンの見どころでもある。大きくリードしていても最後まで勝負の行方は分からないのがコースの魅力だ。また選手の底力がないと攻略できないコース、さらに言えば我慢しなければならないところで我慢しきれないとスコアを落としてしまうそんなコースなだけに、昨年、藤田寛之選手がトップ10フィニッシュしたのは素晴らしい健闘を見せてくれたと思う。

■ “芝”が選手の流れを変える

コース内の芝はバミューダ芝がメインだ。グリーン上もほぼバミューダ芝だが、最近ではハイブリッドな芝が多く、人気があるのはミニベルデという芝で、TPCソーグラスも数年前からこの芝を使用している。またティフイーグルと言ってバミューダ芝の質を高めていく過程で突然変異した芝で、ほかにもティフスポーツなどハイブリッド種は様々ある。話は戻るがミニベルデという芝は、触った感じがザラザラしておらず、ベント芝と間違えるくらいソフトだしスムーズだ。打ってみるとバミューダ芝より打ちやすいのだが、目が特徴的である。バミューダ芝は夕方になると太陽に向いたり、低い方向に向いたり、水が流れる方向に向いたり、人が歩く方向に向いたりとさまざまに変化する。それが読めないとグリーンは非常に難しいものになってくる。西海岸で好調をキープしている選手がいたとして、東海岸でもおなじように好成績が残せるかと言うとそうでもない。そのような条件の変化で自分の力が発揮できなくて流れが変わってしまう選手もいれば、好転する選手も出てくる。ゆえに、今大会は流れの変化がでてくるところでもある。またここでひと区切り、新しい一歩が始まるというところだろうか。

2012年 ザ・ホンダクラシック