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後世に残したいゴルフ記録

ツアー最長プレーオフ 14ホールの死闘/残したいゴルフ記録

2021/09/28 17:00

国内男子ゴルフのツアー制度が始まった1973年より前の記録は、公式にほとんど残されていません。本連載では、ゴルフジャーナリストの武藤一彦氏が取材メモや文献により男子ツアーの前史をたどり、後世に残したい記録として紹介。今回はツアー施行後ながら、詳細な資料が少ない76年の最長プレーオフ大会を深掘りします。

なかなか決着つかず…選手からは「同時優勝」の提案も

日本ツアーの最長プレーオフ記録は、1976年5月「ペプシウィルソントーナメント」(山口・宇部CC万年池コース)で生まれた。その数、実に14ホール。豪雨による54ホール短縮競技の最終日に行われたサドンデスによる死闘は、「全英オープン」5勝のピーター・トムソン、グラハム・マーシュ、ブライアン・ジョーンズの豪州勢と、宮本省三(茨木CC)の4人で繰り広げられた。

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まず1ホール目に宮本が早々にボギーで敗退。4ホール目にはジョーンズも脱落し、争いは46歳トムソンと32歳マーシュの一騎打ちとなった。だが、ともにバーディが出ず、決め手を欠いたまま試合は膠着状態に。12ホール目を分けた時点で、2人は「夜に関西空港から次戦のマニラ(フィリピン)行きの航空便に乗らないといけないので優勝を分け合いたい」と申し出るが、競技委員会は認めずに続行。その14ホール目、マーシュがラフからの2打目をミスしてボギーとし、延々3時間半に及んだ激戦にようやくピリオドが打たれた。

優勝したトムソンは「長いツアー生活でいろいろ経験をしたが、これほどの緊張の連続を味わったのは初めてだった」とコメント。日本での7勝目を逃したマーシュは「集中力が限界だった。無事に終わってほっとしている」とぐったり。ちなみに4人のプレーオフは、1961年「日本オープン」、2019年「ANAオープン」の5人に次ぐ2番目の多人数だった。

なお、ツアー施行前を含めた最長プレーオフ記録は、1926年に開催された日本最古のプロ競技である第1回「日本プロ選手権」の36ホール。これは、規定によりプレーオフ決定から3日後に一日36ホールのストロークプレーで争われたもので、23歳の宮本留吉がベテラン福井覚治を下し、初代の日本プロチャンピオンとなった。プレーオフの形式や歴史は時代とともに移り変わるもののようである。(武藤一彦)

武藤一彦(むとう・かずひこ)
1939年、東京都生まれ。ゴルフジャーナリスト。64年に報知新聞社に入社。日本ゴルフ協会広報委員会参与、日本プロゴルフ協会理事を経て、現在は日本エイジシュート・チャレンジ協会理事、夏泊ゴルフリンクス理事長を務める。ゴルフ評論家として活躍中。近著に「驚異のエージシューター田中菊雄の世界」(報知新聞社刊)など。

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