2024年 フェデックスセントジュード選手権

コリン・モリカワがプレーオフ投入ギアを徹底解説

2024/08/18 10:25
プレーオフシリーズ前に全ギアを語るコリン・モリカワ(提供PGAツアー)

◇米国男子プレーオフ第1戦◇フェデックスセントジュード選手権 事前情報◇TPCサウスウィンド(テネシー州)◇7243yd(パー70)

PGAツアー6勝のコリン・モリカワは今季6度のトップ5を決め、プレーオフシリーズにもフェデックスカップランキング4位で駒を進めたが、優勝はない。しかし、今週に導入したゴージャスな新ゴルフバッグといくつかのアイアン変更が今季初勝利につながるかもしれない。

新バッグはテーラーメイド、フェデックス、そしてシーズクリエイティブスタジオがコラボした超カスタムタイプ。また、シーズン中に何度もクラブ変更してきたが、今週またもギアを変更し、新たにテーラーメイドの複合アイアンセットの中身をアレンジし直した。

「フェデックス セントジュード選手権」開幕前日、モリカワは全クラブについてエピソードを交えて詳細に解説してくれた。アイアン変更、新バッグ、5番ウッドの磨耗した打痕、軽めの60度ウェッジ、新ボール…。そしてドライバーのテスティングのプロセスについて。

自分のグローブで覆われたゴルフバッグ

側面をグローブで埋め尽くした超カスタムのキャディバッグ(提供PGAツアー)

「このゴルフバッグは、とても変わっていて、特別な物。プレーオフ全戦で使う予定だよ。フェデックスとテーラーメイドが、プレーオフ用にコラボで作ってくれたんだけど、たくさんのリサイクル素材でできていて、トラックの一部や、フェデックスの箱の一部も使われているはずだよ。両側には上から下までテーラーメイドのグローブが使われている。内側にはメンフィス、デンバー、アトランタとプレーオフ3戦が行われる3つの地名が入っている。実は妻が11月にニューヨークマラソンで走るんだけど、彼女はフェデックスを代表して走るんだ。そして、プレーオフ期間中、フェデックスは僕が決めたバーディ1個につき1000ドルを寄付する。全てが一つのサイクルにまとまっている感じでとてもクールだと思う」

テーラーメイド Qi10 LS ドライバー(9度:三菱ケミカル ディアマナD+ 60TXシャフト)

Qi10 LSドライバー(提供GolfWRX)

「僕はちょっとした可変ウエートの装着された『Qi10 LS』ヘッドを使っている。完全にセンターにセットしているんだけど、少しフェードバイアスを加えるため、ヘッド内部に少しだけ重量を加えてある。これは、今年素晴らしい働きを見せているね。僕らはとにかく、どのヘッドの見た目が一番良く、どれが最もフィットするかを見極めようとしてきた。然るべき弾道で飛ぶヘッドを探し出すまで数多くのヘッドを試し、ウエートを調整したり動かしたりしているうちに、これが僕にとって一番良く機能し、打ち出しも最高なことを見出したんだ。多くの選手がコア(標準モデル)のヘッドを選んでいることは知っているし、今年の初めの3週は僕も(テーラーメイドQi10の)全3モデルをそれぞれ別の大会で使ってみた。そして、この一本に絞り込まれた。一貫性のあるクラブで、今のところいい感じだね」。

テーラーメイド SIMチタニウム 3番ウッド(14度)、Qi10 5番ウッド

「5番ウッドは『Qi10のコアモデル』。SIMの3番ウッドはずっと信頼している一本で、随分前からバッグに入っている。(打痕は)ちょっとトウ寄りかな。僕はアイアンもウッドもトウ寄りでミスする傾向にあるから。そこが僕の領分みたいな感じでね。ドライバーはハイトウで、フェアウェイウッドはトウボール。僕はフェースを保ったままでも、あのカットを打てる。打痕があの場所にあるのは、それが理由なんだ。僕は新しい5番ウッドを手に入れ、中心に打痕を入れられるか試してみるべきであり、そうなると、誰も僕の秘密に気が付かなくなるからね」。

テーラーメイド P-7CB ロングアイアン(4~6番)及びP730 ショートアイアン(7番~PW)

「僕はターフの違いで(アイアンを)変えた『全英オープン』と『(ジェネシス)スコットランドオープン』を除くと、ほとんど複合セットでプレーしてきた。それをまた通常のセットに戻した。7番からPWは『P730』で、それに新しい『P7CB』を合わせている。前はMCを使っていたけど、6番から4番はCBにした。これは素晴らしいアイアンでね。少し寛容性があるのに、見た目はクリーン。大型の見た目じゃないから、すんなりバッグに入れることができた。

4番は“プロト”と刻印されているはず。使い始めたのが今年のヒルトンヘッドの頃で、その少し前にロリー(・マキロイ)が使っているのを見て、興味が湧いた。僕はテーラーメイドP770を使っていて、弾道もP770の方が高かった。僕は、特にロングアイアンは弾道が高ければ高いほどいいんだけど、少し飛び過ぎていた。それで、ロリーに色々と質問した。(テーラーメイドが)フルセットを用意する前のことだったから、プロトなんだと思うけど、この刻印は外したくない。僕はP7CBよりプロトと呼ぶ方が好きだから。もう2カ月半から3カ月ほど使っているし、バッグから外す理由は見つからないよ」

テーラーメイド MG4 ウェッジ(52度、56度、軽量の60度)

軽めに仕上げた60度のウェッジ(提供GolfWRX)

「ウェッジは全て『MG4』。60度、55度に調整した56度、そして51度に調整した50度。60度のスイングウェイトは少し軽めなのは、バンカー、ラフ、それにピッチショットもスピードを出してそれを感じたいから。手に重みを感じるため、重めのクラブを好む人もいるけど、僕は手に速度を感じたいんだ」

「60度はスイングウェイトにして、1.5から2ほど軽いだけで、そうし始めたのは1年前か、もう少し前かな。何人かの選手がやっていることに気付いて、理由を聞いてみたんだ。明らかに違いの出るものだし、サンドウェッジやギャップウェッジで打ったときと感覚が違って来るからね。スイングウェイトを変え、感覚が変わると、何かが狂ってしまうと言われる。だから僕もそこを変えてこなかったんだけ、やってみると、そこまで違いは感じなかったんだ。逆に、もっとスピードを生み出せるように感じたね。僕にはウェッジショットやチップショットを気安く打ってしまいがちなところがある。それはボールが遠くに行き過ぎてしまう感覚があるからで、そこで緩めてしまう。少し軽めになれば、スピードを保ったまま、ボールに対してより良い感じで構えられると思うんだ」

「チッピングは大抵60度でやるし、バンカーも60度で出しているね。56度はほとんどアプローチショット(グリーンを狙うある程度距離のあるショット)用。だから(60度は)おもにグリーン周り専用で、(軽めを)試してみた理由もそこにあるんだ」

テーラーメイド TPソト パター(シンプルなドット入り)

シンプルなドットが入ったTP Sotoパター(提供GolfWRX)

「このパターは、もうずいぶん長いこと使ってる。『TPソト』でシンプルなドットの入った物だよ。それほどの話はないかな」

テーラーメイド TP5x カスタムの5番

ボールはTP5x。「5」に意味あり(提供GolfWRX)

「僕は『TP5x』ボールを使っているけど、ロゴは少し違う。5は僕の一番好きな番号で、地元のドジャースに敬意を評して、背番号の青をあしらっている。これがいい感じ。シンプルで、クリーン。それと青いシャーピー(マジック)で、テーラーメイドのロゴの両側に印を入れている。TP5xで感じるのは、飛びがいいところ。少し弾道が高い。グリーンに止めやすくなるんだよ。Xボールは少しスピン量が少ないけど、アイアンで適量のスピンを入れることできるし、弾道も少し高くなるから、硬くて速いグリーンで止めやすくなる。全番手で良い感じだし、ドライバーには断然フィットしている。スピン量が合わせやすいので、かなりの一貫性を保ち続けているよ」

(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)

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