2024年 ウィンダム選手権

ジャスティン・ローズの新旧混在セット 1Wシャフトに鉛テープを貼るワケは

2024/08/10 14:25
ジャスティン・ローズの使用クラブを徹底調査 (Courtesy GolfWRX)

ジャスティン・ローズ(イングランド)は近年、用具契約フリーの立場を最大限に生かす中で、PGAツアーきっての熱心な用具テスターとなった。向上するためとあらば、テストするクラブやシャフトの選り好みをしない。

2024年初頭を例に挙げると、ローズは古めのタイトリスト製ドライバーとコブラのアイアンを使用していた。それが3月の「ザ・プレーヤーズ選手権」の頃になると、バッグにはピンのドライバーとスリクソンのアイアンが入っていたのである(同年におけるクラブ変更は、それで終わることはなかった)。

ここに至るまで、ローズのシーズンに安定感はないものの、「全米プロゴルフ選手権」で6位タイ、「全英オープン」で2位に入るなど、大舞台では輝きを放っている。ただし今季のトップ20入りは、この2大会以外では1大会のみ(AT&Tペブルビーチプロアマでの11位タイ)となっている。

こうしたタイムリーな好パフォーマンスにより、ローズはフェデックスカップのプレーオフ進出には十分な位置につけてはいるものの、プレーオフ第2戦「BMW選手権」への出場となると、ランキングにはやや心許ないものがある。現在52位につけており、シーズンを継続させる上で、終盤へ向けソリッドな成績が求められる。

レギュラーシーズン最終戦となる今週の「ウィンダム選手権」にてローズと接触した際、常に興味深いイングランド人選手のゴルフバッグに5つの注目点を発見した。

新旧混在

ローズは市場にあるクラブやシャフトをテストすることに躊躇(ちゅうちょ)はしない。それは、必ずしも常にクラブを変更することを意味するわけではない。バッグの上の方の番手を見てみると、新しいテクノロジーと5年物のクラブを混在させている。

1Wは最新モデルを使用 (Courtesy GolfWRX)

2024年はこれまで何種類かのドライバーを使用してきたローズだが、最近は多くのPGAツアープレーヤーたちの動きを追う形で、新しいタイトリスト「GT3ドライバー」に変更している。ローズはホーゼル設置をB2にセットしてGT3を使用しており、これは標準ロフトでライ角が0.75度アップライトになっていることを意味する。

最も注目すべき点は、ローズがプロジェクトX「HZRDUS」シャフトのグリップ側終端に鉛テープを巻いているところだろう。これは、クラブを効果的にカウンターバランスとすることに一役買っている。グリップ側の端に鉛テープを加えると、クラブ全体の重量を増やしつつ、スイングウエートを減らすことができるため、ヘッドを若干軽く感じることができる。これにより、スイングを通してクラブとより繋がっているように感じられ、スイングの移行の中でシャフトの動きがわずかながら滑らかに感じられる。これは万人向けではないが、カウンターバランスのドライバーシャフト未経験のアマチュアには、試してみる価値があるだろう。

鉛が巻かれた1Wシャフト (Courtesy GolfWRX)

ローズはタイトリストの最新テクノロジーが搭載されたドライバーを投入しているものの、フェアウェイウッドは未だに2016年初頭に一般向けにリリースされたテーラーメイド「M6」(15度と21度)を使用している。時として、使い心地の良さが完全無欠の最新テクノロジーに勝ることもあるが、ローズはフェアウェイウッドに関して、目的を最大の飛距離ではなく、最大のコントロールに置いているのである。

ローズ風味のアイアン

2024年「マスターズ」において、ローズはアイアンをKBS「ツアーCテーパー」125S+シャフトの装着されたタイトリストの「T100」(4番、5番)と「620 MB」(6番~PW)の複合セットに変更。最近になって“ROSE”印のステッカーが貼られた新しいKBSのカスタムシャフトを使用し始めた。

シャフトには「ROSE」のステッカー (Courtesy GolfWRX)

ツアープレーヤーであり、しかも16年の夏季五輪金メダリストにして13年「全米オープン」王者であれば、自分の用具にこのようなクールなカスタイムを施すこともできるのである。

精密ウェッジ

ともすると、ツアーの選手たちが自分たちの飛距離や用具にどれだけ精密であるかという点は、忘れられがちである。

ロフト角55度と刻印されたウェッジ(Courtesy GolfWRX)

ローズのウェッジはその好例といえる。錆の浮いたタイトリスト「ボーケイSM9ウェッジ」に刻印された55という数字は、ロフトの精密さを示唆している。彼は52度のギャップウェッジを51度に、56度のサンドウェッジを55度に調整している。この微調整により狙い通りのキャリーの距離感と弾道を生み出せるのであり、ウェッジの各番手の距離感は精密そのものなのである。

アマチュアは、これを飛距離のギャッピングの教訓とすべきだろう。バッグのすべての番手を打ってみて、番手間の飛距離の段階が適切かどうかを確認するのは重要である。番手間のギャップは10~15ydになるのが理想とされている。

新たな一点物パター

ローズは2019年以来、「アクシス1」マレット型パターを使用してきたが、「ジェネシス スコットランドオープン」と「全英オープン」の行われたスコットランドには、新しいカスタムのウィング型マレットであるスコッティキャメロン「T5ツアーオンリーパター」をバッグに入れて赴いた。

新投入のパター (Courtesy GolfWRX)

このパターには黒いセンターラインと、トップライン中央に赤いドットの入った半円形のアライメントラインがあしらわれている。この半円はローズがボールの中央に対して適切に構える上での補助となる。また、センターラインは適切なアライメントの補助となり、赤いドットはパターの重心に視線の焦点を絞る手助けとなる。

果たして、このパターはローズにとって長期的な付き合いになるのか、あるいはセットアップ再編成へ向けた短期的な変更となるのか?

未来のみがその答えを知っているわけだが、ローズと彼の用具について我々が把握していることがあるとすれば、今後も継続的に進化を模索するにあたり、製品やテクノロジーのテスティングを続けるということである。

興味深い新スタッフバッグ

ローズはこの4月に、AI技術を用いてスイング映像を分析し、スイングパターンについてのアドバイスとコーチングを提供するゴルフアプリであるマスタードゴルフのブランドアンバサダーとなった。2024年初頭から、ローズはマスタードゴルフのスタッフバッグを使用している。

このアプリのインストラクーには、ジェイソン・ゴールドスミス、マーク・ブラックバーン、そしてマイケル・ジェイコブスといった有名ゴルフコーチが名を連ねている。

(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)

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