短めのドライバーはいかにしてキタヤマの勝利をアシストしたか
選手はしばしば、新しい用具に慣れるのに時間を要するものであり、日曜午後の過度にストレスのかかる状況でプレーしなければならないとしたら、なおさらである。
ただし、少なくともドライバーの交換に関していうと、カート・キタヤマはこの限りではない。彼は「アーノルド・パーマー招待」の日曜に、PGAツアー初勝利を挙げる直前に、新しいドライバーをバッグに入れたのである。
「ことドライバーとなると、僕はしっくり来た物であれば、直ぐにでもバッグに入れるんだ」と、キタヤマは「ザ・プレーヤーズ選手権」の火曜に、GolfWRX.comに述べた。
キタヤマは、ドライバーをテーラーメイド ステルス2の標準ヘッドに変更して2023年を始動させたが、月曜にベイヒルで行なった試打セッションが大掛かりなオーバーホールへとつながったのである。
テーラーメイドの上級ツアー部長であるエイドリアン・リートベルドは、若干ライ角を調整したテーラーメイド ステルス2プラスを(ステルス2標準モデルの代わりに)キタヤマに試打するよう仕向けた。また、キタヤマは短めのドライバーと、若干軟らかめのシャフトもテストした。また、彼らはスピン量をより低くするため、新しいドライバーの重量も変更した。
「我々は約半インチ短い2種類のシャフトを用意し、試しましたが、既に彼の実戦使用クラブよりも良いパフォーマンスを示していました」とリートベルドはテーラーメイドのプレスリリースの中で述べている。
「最初の段階では、ステルス2プラスはスピン量が少し多めだったのですが、私はスピン量が多すぎた時のために備え、ポケットに2種類のウエイトを入れていました」
リートベルドは前方のウエイトを3グラム重くし、後方のウエイトを4グラム軽くした。これでキタヤマのドライバーのウエイトは、前方が18グラムに、後方が15グラムになった。ドライバーヘッドの重心位置を前寄りにすると、ティショットでのスピン量が低減するのである。
ドライバーの低スピン化と短尺化は、キタヤマのティショットにおけるコントロールを助長した。彼は「アーノルド・パーマー」の開催されたベイヒルC&Lに、ドライビングディスタンス(平均飛距離)を29位(308.8ヤード)として乗り込んだが、フェアウェイキープ率は195位(51.8%)だった。
「アイアンはかなり好調だったので、ドライバーのフィーリングだけ、なぜあそこまで違うのか、解明しようとしていたんだ」とキタヤマはGolfWRX.comに明かした。
「なぜアイアンと同じようなフィーリングとコントロールをドライバーでは得られないのか、とね。それが半インチ短くした理由なんだ。断然コントロールできるようになったと感じたね」
最終的に、キタヤマはロフト角10.5度のテーラーメイド ステルス2プラスに乗り換えた。このクラブには、長さ44.75インチのグラファイトデザイン ツアーAD-IZ 7Xシャフトが装着されており、ライ角は57度(ホーゼルスリーブで1度アップライト)にセットされている。
キタヤマはベイヒルにて、ティショットを2度OBとしているが、同時に56ホール中39ホールでフェアウェイを捉え、先週はこのスタッツで首位タイにランクした。また、彼はGIR(パーオン率)も首位タイ(51/72)だった。
さらに、リートベルドはキタヤマの使用するステルス2 HL 3番ウッド(16.5度)のシャフトを、ドライバーとマッチするよう短くし、ライ角も調整し直した。テーラーメイドによると、シャフトが短くなったにも関わらず、キタヤマのボール初速は時速1~2マイルほど速くなり、それでいて弾道の分散はタイトになったとのこと。
キタヤマの大掛かりな変更は奏功し、今や30歳はPGAツアー勝者となったのである。
(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)