2023年 アーノルド・パーマー招待

サム・バーンズが小型の「パラダイム」に変更したワケ

2023/03/09 08:00
ヘッド体積420ccのモデルに切り替えたサム・バーンズ(Richard Heathcote/Getty Images)

ほとんどのゴルファーは、より遠くへボールを飛ばしたいという欲求から新しいドライバーへアップグレードするものだ。そうですよね?

しかし、昨季3勝のサム・バーンズはこの限りではない。自分の飛距離に十分満足しているバーンズが「アーノルド・パーマー招待」で新しい(そして小型の)ドライバーに変更したのは、ミスヒットに対する弾道の分散を引き締めることが目的だった。

今季のドライバーに関するスタッツが、その理由を雄弁に物語っている。

ストロークゲインド・オフ・ザ・ティ 59位(0.230)
トータルドライビング 30位(144)
平均飛距離 16位(312.0)
フェアウェイキープ率 128位(57.54%)

2023年に入り最初の4試合で、バーンズは昨年使用したキャロウェイ ローグST トリプルダイヤモンド ドライバーを引き続き使用した。しかし、「ジェネシス招待」で予選落ちを喫したバーンズは、新しいキャロウェイ パラダイム トリプルダイヤモンド S ドライバーをバッグに入れて「アーノルド・パーマー招待」の会場に姿を現した。

バーンズの1W「パラダイム トリプルダイヤモンドS」 (GolfWRX)

この“S”モデルは独特のドライバーであり、低スピン設計で、ヘッドの容積は大多数のドライバーで採用されているUSGA許容範囲限界の460ccではなく、420ccしかない。この構造は、アドレスでのコンパクトな形状と低スピン弾道を好む上級者(例えばPGAツアー4勝のバーンズのような)向けと言える。

バーンズは「変更の主な理由の一つは、射程に対して(ボールが)分散する範囲が狭まったからなんだ」と開催週の水曜に述べた。「それこそが実戦で僕らが求めているものだから。僕らの中で飛距離を求めている選手は多くないと思う。散らばりの度合いを少なくしたいんだ。僕にとって、こちらの方がミスに対してより安定していると感じた。良いショットは本当に良いのだけれど、重要なのは、良くないショットの結果を良いショットのそれに近づけることにある。そうして、僕はこのドライバーにたどり着いた。かなりコンパクトで、僕の好む見た目だね。よりディープなフェースで、構えたときの座りがとても良いんだ」

とはいえ、バーンズのドライバー変更は、単にヘッドを組み替えるだけという単純なものではなかった。前に使用していたドライバーとの設計の差異により、いくつかの調整をしなければならなかった。

バーンズが使用するシャフト(GolfWRX)

シャフトは引き続き藤倉コンポジット VENTUS BLUE 7 TXシャフトを使っているものの、ヘッドの変更に伴い先端を半インチ詰めている。分かりやすく言い換えると、これはヘッドを接続するシャフトの先端部分を若干硬めにすることを意味する。

さらに、これまで10.5度のモデルを使用してきたが、新しいヘッドのロフト角は“9+”度となっている。キャロウェイの関係者によると、新しいパラダイムのヘッドも、実際のロフト角はホーゼルに施した調整によりも10.5度になっているとのこと。

また追記しておくと、バーンズは後方ポートに12グラム、フェース寄りのポートには10グラムのウエイトを装着している。ちなみに、標準モデルのパラダイム トリプルダイヤモンド ドライバーには、2グラムと14グラムのウエイトが取り付けられている。

バーンズの新しいツアー仕様のパラダイム トリプルダイヤモンド S ドライバーは一般発売されているモデルとは異なるため、一般のゴルファーには確かめようがないものの、バーンズに言わせるとミスによる分散の引き締めに役立っているとのことである。バーンズは、ドライバーの精度が何よりも重要視されるベイヒルで開催の「アーノルド・パーマー招待」で初めてこの新しいドライバーを実戦投入した。

(協力/ GolfWRX, PGATOUR.com)

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