R&Aが史上初の女性メンバー加入の成否を問う投票を実施
“ゴルフの聖地”の扉が、女性に向け解放されるかどうかが問われようとしている。
スコットランド独立の可否を問う住民投票が行われる同日、スポーツ史に残るであろう決定が、ゴルフ界で最も有名な施設内で下されようとしている。
誕生から260年もの間、女人禁制の要塞と言われていたセントアンドリュースのロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブ(R&A)が、現地18日(木)に女性メンバーを受け入れるかどうかの投票を行う。世界中に2,500人のメンバーを誇るR&Aが、代理投票を認めるのも今回が史上初となる。
R&Aの責任者であるピーター・ドーソンは、今年の5月に開催されたスプリングミーティングで、「(女性メンバー受け入れは)正しい判断だと思う。R&Aのメンバーにも、ゴルフにとって正しいと思える行動を取ってもらいたい」と要請。
独立した投票システムにおいては、結論を出さないという選択肢が好まれる傾向にあるが、セントアンドリュースで年に1回開催される総会での投票結果は、より明白となるべきだ。
ドーソンは、「メンバーからの強い支持が無ければ、投票には踏み切らなかっただろう」と言う。
クラブは、投票により女性メンバー受け入れが承認されれば、即時に実施されると考え、次の声明文を発表。
「我々は、適切な時期に有意義な数の女性メンバーが誕生することを願っている。史上初の女性メンバーは、我々の競技の発展、向上に大きく貢献してくれるだろう」。
女性メンバー受け入れの議論は、「マスターズ」開催地であるオーガスタ・ナショナルが2年前に初の女性メンバーを誕生させたことに端を発した。これを機に、これまで女人禁制のルールを頑なに守ってきたR&Aにもプレッシャーが圧し掛かるようになった。「全英オープン」開催コースとなっているロイヤルセントジョージ、ロイヤルトゥルーン、ミュアフィールドは、男子専用クラブとなっている。
ドーソンは、今回R&Aが実施する投票の結果によって、今後「全英オープン」が開催されるコースに何の影響も無いと明言。実際、2016年の開催コースはロイヤルトゥルーンに決まっている。
R&Aが時代遅れの考えを持つとみなし、男女平等に関しても時代に合わないと考える社会が変化を強く求めている。女性メンバーの受け入れは過去にもR&Aの協議事項にあがったとドーソンは言うが、女性メンバーを受け入れないという議論が毎年起こるたびに、イメージが傷ついたのも事実だ。
ロイヤル・アンド・エンシェントは、ゴルフのルールを世界基準のものにし、長年に渡り「全英オープン」を主催している。10年前には、現在ドーソンが責任者であるR&Aという組織に名称を変更し、管理義務を移行。ゴルフのルール制定、「全英オープン」主催、そしてR&A主催の他の大会の責任機関としても機能している。R&Aには、これまで女性従業員はいたが、委員や役員はロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブのメンバーだけで構成されていた。つまり、現在役員クラスのポストに女性は1人もいない。