お見事というほかないホーシェル
By Helen Ross, PGATOUR.COM
3週間前のビリー・ホーシェルは、2014-15年のPGAツアーが始まるのを待ち遠しく思っていた。プレーオフ初戦「ザ・バークレイズ」で予選落ちを喫して、フラストレーションを抱え、新たなスタートを切りたがっていた。
そんな思いは、プレーオフ最終戦「ツアー選手権byコカ・コーラ」の最終日で見事優勝し、フェデックスカップのタイトルも獲得したことで一変。1144万ドル(約12億2,700万円)を手にした今となっては、シーズンが終わるのを望んでいないかのようだ。
「現実だとは思えない。本当に」と、最終日の表彰式とインタビューで大勢の人に囲まれながら、ホーシェルは言った。フロリダ州の自宅で待つ出産間近の妻ブリタニーさんに電話をするチャンスもなかったほどだった。「(電話ができなかったのは)ちょっと残念だけど、(優勝と年間王者の獲得は)まだ実感が湧かない」。
「メジャー大会を除いて、プレーオフシリーズの4大会はPGAツアー最大のイベントだ。普段よりもずっと人々の注目を集める大舞台で、僕は難局を乗り切り、やるべきことを成し遂げられた」
我々はその気配を感じるべきだった。
先々週の「ドイツバンク選手権」では2位タイ、先週の「BMW選手権」で優勝し、勢いのある状態でイーストレイクGCにやってきたホーシェル。フロリダ州出身で、人当たりの良さで知られる。TPCボストンでの最終日、後に“ひどいショット”と振り返った最終ホールでの湿地への1打がなければ、3大会連続の優勝を手にしていた可能性もある。
ソーシャルメディアを積極的に活用するホーシェルは「ドイツバンク選手権」最終日だったレイバー・デー(労働者の日)、2打及ばず勝利を逃したが、失敗後に寄せられたツイートをすべて読み、そのうち2パーセントのネガティブなコメントに発奮したという。
「他人の言うことを恐れてなんかいないよ」とホーシェル。「…中には、取るに足らないこともあるだろう。それらが誤りなのを自分は証明できると、やる気を起こすきっかけにもなる」。
ホーシェルは、しっかりと証明してみせた。特にイーストレイクでの決勝ラウンドで、世界ランキング1位のロリー・マキロイと首位タイのまま最終組でプレーしたときだ。ホーシェルもマキロイもこの大会で優勝すれば、フェデックスカップのタイトルと1000万ドルのボーナスが手に入ると分かっていた。
最終日、マキロイがパー3の6番ホールで、3年間で2度目となるティショットの池ポチャをしてつまずいた一方、ホーシェルは安定したプレーを続けた。マキロイはその後3連続ボギーで折り返し、優勝争いから外れたが、それでもホーシェルに感心せずにはいられなかった。
「今日(最終日)のビリーは、10番ホール以外はミスすることなく、16番では長距離のパットを決めた」とマキロイ。「…ビリーは必要なときに、ふさわしいショットを打てたんだ。彼が勝ったのも十分うなずける」。
その後、2度目のフェデックスカップ年間王者と今大会の優勝者となる可能性のあったジム・フューリックが、9番でバーディを奪ってホーシェルと肩を並べ、(10番のボギーで差が開くが)15番で再び首位に並んだときも、フロリダ州でのご近所さんであるホーシェルは平静さを失わなかった。
ホーシェルは15番でバーディを奪い、続く16番ではティショットをラフに打ち込んだもののリカバリーし、約9メートルのパーパットを決めてパーセーブに成功し首位を守った。フューリックは上がり2ホールでボギーをたたき、イーブンパーで回ったホーシェルが3打差で勝利を手にした。
ホーシェルは「おかげでかなりの自信がついた。こういったことを成し遂げるのは、かなりのスリルがある。特に自分が立ち向かっていた相手がいるとね」と強調した。