アンカリング禁止も怖くないクーチャー式パッティング
By Jonathan Wall, PGATOUR.COM
「RBCヘリテージ」で、最終72ホール目にグリーンサイドバンカーからなチップインを決め、ルーク・ドナルドに1打差をつけ優勝したマット・クーチャー。その劇的な幕切れを演出したのは、ロフト角63度のタイトリスト ボーケイデザイン SM4ウェッジ(ロフト62度、バウンス角7度を63度に変更)だった。
クラブセッティングに関して、クーチャーはどこかのブランドに絞って、使用しているわけではない。今大会では、昨年の「プレーヤーズ選手権」でベティナルディ社の創設者ボブ・ベティナルディとともに発表した「マット・クーチャー モデル1」パターを含め5ブランドのクラブをバッグに入れていた。
「RBCヘリテージ」でのストロークゲインド・パッティング(パットのスコア貢献率)では、この44.75インチのパターを使って13位だった。一般的なベリーパターの長さがあるが、クーチャーは、パターヘッドを安定させるために、グリップを左前腕につけてストロークしている。USGAのエグゼクティブ・ディレクター、マイク・デービス氏が昨年語ったことによると、2016年からアンカリングが禁止になっても、クーチャーの“アームロック”方式は違反にならないらしい。
デービス氏はクーチャーの“アームロック”について「あれはアンカリングではないと考えています」とのこと。「クラブが支えられている形でも、です。PGAツアー関係者として、これはマット・クーチャーがここ数年実践しているストローク方法と認識しています」。
クーチャーいわく、“アームロック”方式を採用しはじめたのは2、3年前のパームスプリングスでの大会で、コーチのデーブ・ストックトンと話をしたことがきっかけだとか。
「まだマスターしようとしている最中だよ」と、クーチャー。「左前腕にパターを当ててパッティングする僕のスタイルは、デーブ・ストックトンとの意見交換から始まったものだ。僕はずっと彼のパッティングにあこがれていたし、パームスプリングスのクリニックで一緒になる機会があったんだ。ただ彼の意見が聞きたかっただけさ。やがて僕らはコースに出て、彼が以前していたという2、3の異なるパッティング方法を試したんだ」。
「僕は彼の方法論でパットすることができなかった。だから言ったんだ。『君のパターを僕が使って、短く持ち、グリップが自分の手首に来るようにしてパッティングしたらどうか』ってね。デイブはそれを気に入ってくれたし、子供時代の自分のパッティング方法をも思い起こさせた。当時の僕は大きくフォワード・プレスをしていたからね。これで自分の左腕を伸ばす感触をつかんだんだよ」。