最後まで最善を尽くしたボーディッチがツアー初勝利
ボーディッチにマスターズの切符
TPCサンアントニオでの「バレロテキサスオープン」最終日、スティーブン・ボーディッチが通算8アンダーの「280」でフィニッシュし、ウィル・マッケンジーとダニエル・サマーヘイズに1打差をつけ、ツアー初勝利を挙げた。
ボーディッチが最終日にマークした「76」は、2004年にウィッスリングストレーツで開催された「全米プロゴルフ選手権」の覇者ビジェイ・シンと同じく、優勝者のスコアとしては最も悪い数字。強風に見舞われたTPCサンアントニオでの最終日の平均スコアは「73.8」だった。
「正直なところ、かなり楽観的だった」とボーディッチ。「でもしばらくプレーして、サボテンや転がる岩、パットの失敗、といった中でも自分はそれらに対応していかなくちゃいけないって事実を受け入れたんだ。こういったことは頻繁にあるし、心を乱されることもなかった。今日は風にも恵まれたみたいで、いいスコアで追いつかれなくて良かったよ」。
ボーディッチはマット・クーチャーとアンドリュー・ルーペに3打差をつけて最終日に臨んだ。だが序盤4ホールのうち3ホールで3オーバーとなり、結局3オーバーの「39」で後半へ。クーチャーと首位に並んだ。
一方、クーチャーは最終日後半の最初の5ホールで3ボギーを叩き、「39」でホールアウト。クーチャーとルーペは共に「75」をマークし、通算6アンダーで4位タイとなった。
ボーディッチは今回の優勝でフェデックスカップランキングの500ポイントを獲得し、順位も155位から26位へと大幅にアップ。初のマスターズ出場権も手にした。彼にとって初のマスターズでは、同胞のアダム・スコットが連覇を目指す大会でもある。また、ジョン・センデン、アーロン・バデリー、そしてスコット・ガーディナーのオーストラリア3人組は18番ホールのグリーン近くでボーディッチの勝利を祝福。最近の「バルスパー選手権」の覇者センデンは、マスターズの白Tシャツを着こなしていた。
最終日、ボーディッチのリードは13番パー3でボギーを叩いて1打差に縮まったものの、次の14番でバーディを奪い、再び2打差と引き離した。
今週のパットのスコア貢献率では64位だったボーディッチ。彼は今大会の初日終了後にパターを替えたが、これは毎週のようにしていることだとか。「大会初日にボールの当たりで手ごたえを得て、『ちょっと待てよ、この調子でボールを打っていけば、優勝争いに加われるかもしれない』と思ったんだ。自分に合ったパターに戻したいと思っただけさ」。これは功を奏し、彼の人生を変えるきっかけともなった。
初のマスターズにどう挑むのかを聞かれ、「(会場であるオーガスタへの)行き方もわからないんだよね」と、冗談を飛ばしたボーディッチ。とはいっても、コースのことをまったく知らないわけではない。“プレイステーション”でプレーしたことがあるので、「少しはコツをつかんでる」ようだ。
ラッシュアワー
9ホール残した時点で、ボーディッチと共に首位に立っていたのがマット・クーチャー。この時は2人とも通算9アンダーで、2位以下に3打差をつけていた。すでにツアー6勝を挙げているクーチャーと、ツアー初勝利を狙っていたボーディッチ。それは公式世界ゴルフランキング11位(クーチャー)と339位(ボーディッチ)の戦いだった。
だがゴルフ版“マーチ・マッドネス(3月の狂乱)”を制したのはボーディッチだった。クーチャーは最終日後半の最初の5ホールで3ボギーを叩いてしまい、通算6アンダーの4位でフィニッシュ。10番と14番ホールでは3パットした。
クーチャーは「急いでしまったという感じだった。それがミスにつながったと思う。10番での3パットに、やや急いでいる感じ、11番でのウェッジショット、そして風も強弱があった。なんとかしなくちゃいう思いがあったんだ」と振り返る。「時間通りにプレーするのはストレスが溜まるね。慣れてないから、焦ってしまった。その分ストレスもある。特に今日みたいに風が強くて、厳しい状況だと、いつもよりもじっくりと考えてやらないといけない」。
とはいえクーチャーの4位という成績は、今季8試合のうち5度目のトップ10入りでもある。
出場権を手にしたメンバー
ダニエル・ダマーヘイズが今大会2位という成績は、自身のキャリアで再び最高のフィニッシュとなった。勝利こそ手にしなかったが、その好プレーには大きなボーナスがある。来シーズンにプレーする権利を確実なものにしたのだ。
「出場権を維持して、来季もプレーできるとわかるとホッとするよ。肩の荷が下りた感じだ」と、サマーヘイズ。「毎週、多くのプレーヤーが勝利を手にしようとしのぎを削ってる。僕だって勝ちたいけど、今では来季もプレーできる権利のあるポジションにいる。それって、僕にとってはかなり重要なことだね。まさに幸運だ。本当にありがたく思ってる」。
赤丸急上昇中
2013年シーズンのウィル・マッケンジーは、ウェブドットコムツアー最終戦でPGAツアーへの出場権を再び手に入れなければならなかった。そして今、彼はフェデックスカップでは目覚ましい活躍を見せている。そして今大会では2位に入り、直近4試合で3度目のトップ6入りを果たした。フェデックスカップランキングでは11位だ。
「何度か緊張したよ。6アンダーになった時は、『ああ、この時が来た。ちょっと調子が戻って来たぞ』って感じだった。かなりワクワクしたね。すごいよ。最高の気分だ」。
彼はまた、今週のパットのスコア貢献率では2位だった。
すっかりPGAツアーの一員に
PGAルーキーのループにとって「バレロテキサスオープン」は今季8試合目だった。ツアーでの勝利争いは、描いていた通りには進まなかったが。最終日は最初の8ホールのうち6ホールでバンカーに打ち込み、7ホール終了時点では4オーバー。大会3日間の頑張りを、最終日で台無しにしたようなものだった。彼はそれからの11ホールを1アンダーに抑え(10のイーブンパーと1バーディ)、「75」でホールアウト。同じく「75」をマークしたクーチャーと共に4位タイで終えた。
この結果、フェデックスカップのランキングでは170位から113位へとアップ。今季は最初の5試合で予選落ちを喫したが、直近3試合では27位よりも良い成績を収めている。
夢やぶれて
チェソン・ハドリーのマスターズへの道は、大会最終日での「80」の大叩きで断たれた。6位から3打差の14位で最終日を迎えたハドリーがマスターズの出場権を手にするには、(世界ランキング50位内に入るため)7位かそれ以上の成績が必須だった。
大会3日目を終え、最終日は「全ホールでピンを狙う」と話していたハドリー。だがその最終日は9ボギー、1バーディで終了した。
ここ2週間の大会最終日ではいずれも、苦戦していたハドリー。先週の「アーノルド・パーマーインビテーショナル」では5位タイで最終日に臨んだが、「79」のスコアで26位タイに終わった。
大会最終日はライアン・パーマーにとっても、世界ランキング経由でマスターズ出場権を得るチャンスだった。彼の場合、出場権を得るにはトップ3に入ることが必要で、2位から4打差の8位で最終日を迎えたものの、この日は「82」の大叩きで56位に終わった。