2019年 全米プロゴルフ選手権

驚異のメジャー勝率 ブルックス・ケプカが突き進む異次元ロード

2019/05/20 14:25
ウィニングパットを決めると、この雄叫び。ケプカが大会2連覇

◇メジャー第2戦◇全米プロゴルフ選手権 最終日(19日)◇ベスページ州立公園ブラックコース(ニューヨーク州)◇7459yd(パー70)

重圧からの解放か、達成感か、はたまたフラストレーションか――。

ウィニングパットを沈めたブルックス・ケプカは雄叫びを上げ、拳を振り下ろした。「全米プロ」史上5人目の完全優勝で、2007年のタイガー・ウッズ以来となる12年ぶりの大会連覇を成し遂げた。「人生で一番興奮した。最高だ」。母国で味わった“完全アウェー”の雰囲気を跳ね返し、メジャー通算4勝目に感情を爆発させた。

記録的スコアで、3日目を終えて2位に7打差をつけた。「メジャーの勝ち方を知っている」「コースが簡単に見える、異次元だ」。タイガー・ウッズジェイソン・デイ(オーストラリア)らが称賛の声を上げた。「最終日を前に一切、緊張はなかった。普段通りで大丈夫だ」とケプカ。鋼のような肉体と同様、そこには強い芯がある。

2組前のダスティン・ジョンソンが追い上げたが、後半10番のバーディで6打差。「良いプレーを続けていた」。しかし、強風の吹き出した11番から突然乱れた。「このコースで風が吹けば、簡単にできる選手は誰もいない」。ティショットでフェアウェイを外し続け、4連続ボギーを喫した。一気に1打差まで詰まった。

母国にもかかわらず、舞台は「外圧」に満ちあふれていた。爆音のようなジョンソンへの歓声が遠くから響く。口汚い野次。「ここはニューヨーク。誰もが僕の相手になる。14番のボギーの後、精神的にも強くいかなきゃと思った。慣れている。大丈夫だったよ」。15番ティから、16番のグリーンでジョンソンがボギーをたたく瞬間を見た。「2打差に変わると知った。リードしている以上、僕に問題はなかった」

ツアー通算6勝目。そのうち4勝がメジャーだ。2017年6月の「全米オープン」初制覇から、出場したメジャー8戦の勝率は5割を誇る。いずれも4大メジャー全制覇を遂げたベン・ホーガン、ジャック・ニクラス、ウッズを除いて未達の数字だ。「ピークの持っていき方の問題。いまの僕は、それがうまくいっている。8戦4勝、良い響きだね」と笑みを浮かべた。

最終組でともに回ったハロルド・バーナーIIIが、不快感を示すほど観客はジョンソンびいきだった。そんな中でも「僕があきらめていたのに、僕のボールを必死に捜すんだ」(バーナーIII)。4番で木に当てた第2打の後、茂みをかきわけてボールを捜してくれたケプカの姿に感銘を受けた。

「(観客の反応は)まったく気にしていない。僕への声援もちゃんと聞こえたよ」とケプカ。実力に比べて注目度が劣るのは、欧州下部ツアーでプロキャリアを始めたからか。ただ、予選で同組だったウッズは「彼は欧州ツアーでつちかった精神力がある。苦労した分、強さがある」と強調した。

5カ月ぶりに世界ランキング1位に返り咲き、6月のメジャー第3戦「全米オープン」では3連覇を目指す。会場は太平洋に面するカリフォルニア州のペプルビーチGL。達成すれば、1903年から05年にかけて制し31歳で早世した伝説的なゴルファー、ウィリー・アンダーソン(スコットランド)以来で2人目となる。「2015年にツアーで初優勝したときは、いまの状況を夢見ることもできなかったよ」。ぶれない強さ。そう表現するしかない何かが、ケプカを偉業へと導く。(ニューヨーク州ファーミングデール/林洋平)

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