キャリア最長の“トップ10なし” スピースの泰然自若
◇米国男子◇AT&Tペブルビーチナショナルプロアマ 3日目(9日)◇ペブルビーチGL(6816yd/パー72)、スパイグラスヒルGC(6953yd/パー72)、モントレーペニンシュラCC(6958yd/パー71=すべてカリフォルニア州)
「すごくイライラしている。パー、パーで良かったんだ。あしたの(悪)天候を考えれば、また優勝争いに残ることができたのに…」。終盤17番(パー3)で3パットボギー。18番(パー5)では第1打を左の太平洋岸に打ち込んでダブルボギーをたたいたジョーダン・スピースは失望感たっぷりに言った。3日間の予選ラウンドを終えて、首位のポール・ケーシー(イングランド)とは8打差。2年ぶりの優勝が遠ざかった。
悪天候でサスペンデッドとなっていた2日目を終えた段階では暫定トップ。ムービングデーの午前7時10分、スパイグラスヒルGCで残していた第2ラウンドの2ホールを終えたスピースは、シャトルに乗り込んで移動したペブルビーチGLで結局「74」とし、通算7アンダー18位に後退した。「ゴルフボールをコントロールできていない。ひとつひとつの要素のコンビネーションも悪いんだ」
2017年「全英オープン」で挙げたツアー通算11勝目(メジャー3勝)が直近の優勝。昨年7月「全英オープン」(9位)を最後に半年間、トップ10入りがない。9試合連続はキャリアで最長だ。年をまたいで2試合連続予選落ちを喫し、2週前の「ファーマーズインシュランスオープン」でも35位と振るわない。15年には5勝を挙げ、22歳にして年間王者に輝いた。世界ランキング1位にも君臨した(現在21位)。その実績を皆が、そして自身が知っているからギャップにも苦しんでいる。
スピースは最近「以前のように何が何でも勝ちを追いかけるつもりはない」という気持ちでいるという。「去年はたぶんそれで悪いパターンに入ってしまっていた」
まだ25歳。1993年生まれで2011年に高校を卒業した “クラス11”と呼ばれる粒ぞろいの世代の筆頭格であることは、まだ誰も疑わない。「この何年かの悪い時期でゴルフ人生全部が決まるわけじゃない。今後もっと残念な時期が続いても、それでも僕のキャリアはまだ素晴らしいと思う。そう考えたら、少し幸せに、気分が楽になるんだ」。今の自分を否定しない。日々のタスクを忠実にこなす。「状態は良い方向に向かっていると感じている。いずれ、もうすぐ結果は出るはず」と“その時”を静かに待っている。(カリフォルニア州ペブルビーチ/桂川洋一)