最後に意地の「66」 松山英樹は悔しさいっぱい
◇メジャー最終戦◇全米プロゴルフ選手権 最終日(12日)◇ベルリーブCC(ミズーリ州)◇7316yd(パー70)
タイトル争いをする選手たちがようやく練習を始めた午後0時半過ぎ。ホールアウトした松山英樹は思いを吐き出した。「こんなところで回りたくない。どうせ(予選を)通るなら、今くらいの時間でスタートしたい」。ちょうど1年前は最終組のひとつ前でプレーしていた。だからこそ「それが今できないのは悔しい」。63位タイから今大会自己ベストの「66」で回っても、4アンダー35位タイでの終わりには悔しさを募らせた。
スポーツが盛んなセントルイスは、午前8時半過ぎのティオフとなった松山の組にも、多くのギャラリーが帯同した。序盤からティショットが安定せず、1Wで左に曲げた4番でラフを渡り歩き、ダブルボギーを先行。つまずいてもすぐに立ち上がる、この日はスコアメークにそんな強さがあった。直後の5番で4mを沈め、6番(パー3)では第1打でピン奥3mをとらえて2連続バーディを取り返した。
時間を追うごとに増えた観衆を後半11番で大いに沸かせた。294ydに設定されたパー4、右手前に池が構えるグリーンを1Wでとらえた。6mを沈めて1オン1パットのイーグルを決め「だいぶラクになりました」と声援に手を上げて応えた。続く12番では7mのバーディパットをねじ込み、うっ憤を晴らした。
不調を認めて乗り込んだ今週は日々、試行錯誤を続けた。周囲の目に見える範囲では、ショットに入る前の動作を見直した。初日から手元をいったん胸の高さまで上げてバックスイングのポジションを確認。日を追うごとにその高さは低くなった。「良いところも少なからずありました。(結果的には)悪いところがメーンになってしまうけれど…。試合でまたやってみて、徐々に良くなっていけば」。毎日の苦悩が普段以上に見て取れた。
次週はレギュラーシーズン最終戦となる「ウィンダム選手権」(ノースカロライナ州セッジフィールドCC)に出場する。翌週からはプレーオフシリーズが始まる。各大会終了時のフェデックスカップポイントランキングによって、下位選手が脱落していくサバイバルゲーム。全4戦あるが、ランキング88位の松山が最終戦「ツアー選手権」に5年連続で出場するためには、立て続けの好成績が必要になる。
「体は相当疲れている。暑さは全然(大丈夫)です。日本の方が暑いでしょう(笑)。30位以内に入れるように。ランキングが下なので頑張りたいと思う」
日曜日に見せた意地のスコアだけでなく、光明は上がり2ホールにもある。17番(パー5)ではグリーン右サイドのバンカーから37ydの距離をピンそば60㎝にピタリ。さらに18番では残り165ydの第2打を8Iで80㎝につけて2連続バーディで締めくくった。「久々に良いアイアンショットが打てました」。その手応えはきっと、ポストシーズンにつながる。(ミズーリ州セントルイス/桂川洋一)