1週間で1年分を稼ぎ出す!?「全英」最寄りの無人駅11年ぶりの風景
◇メジャー第3戦◇全英オープン 事前情報(18日)◇カーヌスティ(スコットランド)◇7402yd(パー71)
19日に開幕する「全英オープン」の舞台カーヌスティ・ゴルフリンクスの最寄り駅は、クラブハウスから徒歩10分弱のカーヌスティ駅。スコットランド東部に位置する人口1万1000人余りの小さな町の無人駅で、普段は閑散としている。
だが、全英オープン期間中の1週間はいつもと風景が異なる。開幕前の練習日から、鉄道で来場する多くのギャラリーでごった返している。
英国の政府機関Office of Rail and Road(ORR)による興味深い統計がある。前回、カーヌスティで全英が開催されたのは11年前の2007年7月。同年4月-08年3月(会計年度、07年度)の同駅の年間乗降客数は14万5700人。前年度は7万1184人、翌年度は9万2268人で全英開催年度だけケタが違うのが分かる。
“カーヌスティの悲劇”が起きた1999年も同じ傾向が見られる。同年度の8万2759人に対し、前年度は2万7355人、翌年度は3万5557人となっている。
07年度は前年度の2倍、99年度は3倍となっており、全英開催の1週間で同駅は前年度1年間の運賃収入と同額~2倍を稼いだ可能性がある。
カーヌスティの人口は、近隣の中規模都市ダンディーのベッドタウン化が進んだ2000年代に増加したが、10年代に入ると、横ばいか微減という状況。直近の2016年度の年間乗降客数は11万9278人だ。
これは、千葉県の柏駅(12万5354人)と東京都の日暮里駅(11万3468人)の1日平均の乗車人数(2017年度、JR東日本調べ)の間に当たる。
全英の大会事務局は「来場者数の予測はしていない」とそっけないが、練習日3日間の観客数は3万1200人に上った。スコットランドで前回開催された2016年大会(ロイヤルトゥルーン)では、期間中に17万3000人の観客を集め、スコットランドに1億1000万ポンド(約161億円)の経済効果をもたらしたとしている。
前回のカーヌスティ開催のときと同じ傾向ならば、同駅の2018年度の総乗降客数は20万人を超える可能性もある。ただ、開幕2日前の夕方には駅の券売機が故障して乗車券を購入できず、宿泊先に近い駅まで料金(5ポンド10ペンス=約750円)は無料の扱いになった。駅の盛況ぶりが鉄道会社の売り上げ増加に結びつくのかは、甚だ怪しそうだ。(スコットランド・カーヌスティ/片川望)