「強くなれた3カ月」小平智は遠回りの出場切符に感謝
◇メジャー第1戦◇マスターズ 事前情報(2日)◇オーガスタナショナルGC(ジョージア州)◇7435ヤード(パー72)
マスターズウィークとなり、さっそく大勢のパトロンがオーガスタに詰めかけた月曜日。初出場の小平智は3日ぶりにコースで練習ラウンドを行った。前週水曜日の現地入りから、すでにこれで3ラウンド目。「声援も多いし、緊張するけど楽しかった」と、雰囲気の変わり始めたコースにも余裕の笑みをたたえていた。
2週間前、悩んでいた1Wショットに解決の糸口を見いだした。きっかけとなったのは、「WGCデルマッチプレー選手権」で戦ったフィル・ミケルソン。「いろいろ1Wを試すうちにスイングがあおり気味になって、アイアンも悪くなった。(ヘッドを)下から入れないようなイメージを探していて。ミケルソンが体にクラブを巻きつけて打つのを見て、そのイメージで打つようにしたら下から入りづらくなった」。その結果、アイアンのスピン量が増えて球も上がり、グリーンで止まりやすくなって「絶好調です」と威勢もいい。
昨年末の世界ランキングでは圏外の51位にはじきだされ、「マスターズ」出場を決められなかった。再び50位以内に入り、ようやくオーガスタ行きを確定させたのは1週間前のこと。この3カ月は不安と焦燥のなかで過ごしてきたが、「(自分が)やるだけだったので、ゴルフはやってきたし、トレーニングもすごくやってきた。12月に決まるよりは、自分自身強くなれたんじゃないかと思える3カ月だった」と、いまではポジティブに受け止めている。
周囲の笑顔をみれば、つらい思いも報われる。妻である古閑美保は、水曜日に行われるパー3コンテストで「『わたしは絶対に打つ』って言っているし、それを一番楽しみにしていると思う」と、夫のキャディを満喫する予定。
バッグを担ぐツアー27勝の大溝雅教キャディは、52歳にして初めて踏むオーガスタの地。最終18番のきつい登り坂に息を切らしながらも、目は生き生きと輝いている。「グリーンのアンジュレーションがきついけど、ただそれだけ。普通のコースです、まじで」と本気か冗談かわからない大溝節も健在だ。
小平もここに来ただけで終わらせるつもりはない。「意外と自分に期待しています。出られて終わりじゃないので、気を引き締めてやっていきたい。出ただけで終わりたくない」と、持ち味のアグレッシブなプレーで初めてのオーガスタに立ち向かう。(ジョージア州オーガスタ/今岡涼太)