「自分の招いた結果」米ツアーカード喪失の石川遼は再起誓う
◇米国男子下部・入れ替え戦最終戦◇ウェブドットコムツアー選手権 最終日(2日)◇アトランティックビーチCC(フロリダ州)◇6849yd(パー71)
青空からポツポツと小雨が降り注いできた。米ツアー入れ替え戦の賞金ランキングを31位で終え、来季の出場権を逃した石川遼は「無駄ではなかったはず。苦しかった経験を将来に生かしたい。これからが勝負になる」と再起を誓った。
荒天のため1日順延された最終ラウンド。石川は5バーディ、ボギーなしの「66」と伸ばしたが、賞金ランクは前週の22位から後退した。ランク25位以内に入れず、2013年から本格参戦した主戦場のツアーカードを喪失した。
無情にもカップをすり抜けるバーディパットが、奇跡の可能性をしぼませた。ピンがしなるほどの強風が吹いた最終日。2バーディを奪った後、1オン可能な前半17番(330yd)で、ティショットは迷わずグリーンに向けて放った。練習ラウンドを含め、一昨日までの4ラウンドはアイアンで刻んでいた。バンカーから寄せたが、下りの3.5mはカップをなめて外れた。両膝を折り曲げて大きく悔しがった。
後半4番は左カラーからの5mがわずかにそれ、再び両膝を曲げた。続く5番(パー3)は1.5mにつけた。終盤のバーディラッシュが必要な状況。しかし、勝負どころのバーディパットを外すと、ため息をついて肩を落としボールを池に投げ込んだ。最終日は5アンダーとしたものの、2ホールで6ストロークを失った初日の出遅れが響き「自分の招いた結果なのでしょうがない。(最終日は)9アンダーくらい必要だと思っていた」と気丈に振る舞った。
腰痛の長期離脱から公傷制度を利用し、本格復帰した今季は20試合に出場。予選落ちは12回、トップ10入りはわずか1回だった。知らず知らずに患部をかばい、キレを失った。ショットの感覚を取り戻したと思うと、パットが乱れた。「ラインが読めない」と陣営に吐露したこともあった。シーズン終盤に6戦連続の予選落ち。フェデックスカップランク175位でレギュラーシーズンを終え「米ツアーでやる資格がないと思った。シードを獲得した選手たちとの差は感じる」と振り返った。
米ツアーの壁は厚かった。体格差で勝る相手、一筋縄でいかない舞台。勝ち星は遠かった。「何が原因でこれだけ苦しいゴルフをしたのか、いまでも分からない。スコアやカットラインに追われて自分の力や技術を信じられなかった。泥沼にいて、なかなか客観的に自分を見られなかった」と総括した。
年内は日本ツアーに専念する。年明けからの米下部ツアーの参戦も示唆する。「なんで良いゴルフができなかったのか見つけられるって信じている。本当に心の底からレベルアップしたと感じないと、米ツアーでもう一段階上にいけない。どこの環境でも技術を磨いていきたい」。挫折を味わった26歳は、確実に壁の向こう側を見据えていた。(フロリダ州ジャクソンビル/林洋平)