岩田寛 出遅れも“ぶっつけ本番”アウトコースで3バーディ
米国男子ツアー「クイッケンローンズナショナル」が23日、メリーランド州のコングレッショナルCCで開幕。2週ぶりの出場となった岩田寛は4バーディ、5ボギーの「72」(パー71)で回り、1オーバーの83位タイで滑り出した。
前半インと後半アウトでは、色合いが違うスコアカード。岩田の表情も、フロントナインとバックナインではまったく違った。大雨による2時間の遅れを経て、10番からティオフすると、3パットを叩いた12番で最初のボギー。13番(パー3)でティショットをグリーン手前のバンカーに入れると、不穏な空気が流れはじめた。
不振に苛立ちを隠せないまま、無気力にうつむきながら歩く。周囲のバーディ合戦に取り残されるどころか、15番までに4連続ボギー。16番(パー5)でバーディを決めたが、続く17番でフェアウェイからの2打目を奥のラフにこぼし、またボギーを叩いた。
流れが変わったのは、ハーフターン。コングレッショナルCCの長いインターバルを過ぎると、吹っ切れたように後半1番のティグラウンドに立ち、笑顔ものぞくようになった。
パーを並べて迎えた4番、3mのパーパットをねじ込むと、ようやく反撃開始。2打目をピンそば60cmにつけた6番から2連続バーディを決めた。8番で2m弱のチャンスを逃しながらも、9番(パー5)で4mを決めてバーディフィニッシュ。悪天候の影響などで1度も練習ラウンドができなかったアウトコースで3バーディ。予選通過の望みをつないだ。
スコア上のナイスカムバックにも、岩田はホールアウト後「何も考えたくない気分」と渋い表情で話した。意気込んで迎えたスタート直後に崩れ、開き直った後半に挽回。「“ふざけるくらい”が、いいんですかね…でもそれは、いざ試合になるとできないんですよ」というのは、プロの性かもしれない。
同伴競技者のキム・シウー(韓国)はこの日4アンダーで回りながら、ラウンド中の気性が荒く、ミスをすればクラブを投げるわ、蹴るわ…の大暴れ。そんな姿も「『そんなん(小さなミス)で怒るんだ…』と思った。うらやましいです。調子がいいんでしょうね」と見えるのが今の岩田の状態だ。
「予選通過とか…そういうのを考えずにやりたい。考えたって、何も変わらないですから」と、ため息をつく。ふさぎ込んでも、2試合ぶりの決勝ラウンド進出が2日目の頑張りにかかっているのは、変えられない事実だ。(メリーランド州ベセスダ/桂川洋一)