試運転の松山英樹 貫禄の2アンダー発進
世界選手権シリーズ「WGCキャデラック選手権」が3日、フロリダ州のトランプナショナルドラールで開幕。股関節痛のため前週の「ザ・ホンダクラシック」を途中棄権した松山英樹は、復帰ラウンドで1イーグル3バーディ、3ボギーの「70」をマークし、2アンダーの11位タイと上々のスタートを切った。
眺めただけでは、故障のことを感じさせないプレーぶりだった。松山はスタートの10番(パー5)こそ3打目をグリーン奥にこぼしてボギーで発進しながら、12番(パー5)で残り249ydの2打目を5Wでピンそば3mにつけてイーグルを決めた。
14番をボギーとした直後の15番(パー3)では、ティショットで池に近いピンの左サイドを果敢に攻め、2.5mのパットを沈めてバーディを奪い返す。16番も2mのチャンスを生かして2連続。“ブルーモンスター”のシンボルである、折り返しの18番は3mのパーパットでスライスラインをねじ込み、リズムを持続させた。
後半アウトは4番(パー3)で1m強のパーパットを外し、スコアを伸ばせなかったものの貫禄の2アンダー。「痛みはなかった。ちょっと変な感じのところはありましたけど、ゴルフに集中できるような形でよかったと思います」。患部の状態を日々、探りながらやる現状を考えれば、自ら十分に及第点をつけられた。
目をこらせば、緊張感の走るシーンもあった。前半14番、グリーン奥からのアプローチは極端な左足上がりのライから。後半3番の2打目、ラフからのショットは、左足はバンカー、右足はラフに置くことを強いられた。屈曲が大きく、患部に負担がかかる恐れのある左足下がりのライ。アドレスに入る前には、片足立ちのまま、膝を折った右足をぐるりと一回転させる準備体操をしてから、丁寧に構えた。
「(ライが)イヤなのはいっぱいありました。でもゴルフをする上ではしょうがない。(ボールのポジションが)自分の体調に合ってくれればいいけれど…(笑)。そこに打った自分が悪いんで」。スイングへの不満もあるが、そこに執着すべきときは今ではない。
「体がバッチリでも、結果が伴わないときもある」。逆に言えば、100%の肉体でなくても、好結果が出るときもある。「あまり期待せずに、4日間できることを前提にやりたいと思います」。このシンプルな気の持ちようも、世界トップクラスの仲間たちと競り合って、培ってきたものだ。(フロリダ州ドラール/桂川洋一)