岩田寛「ノリでやった」 ペブルビーチで首位浮上
はにかんだ笑顔が、ペブルビーチの美しい景観に溶け込んだ。米国男子ツアー「AT&Tペブルビーチナショナルプロアマ」の2日目、ペブルビーチGLをラウンドした岩田寛は、1イーグル、6バーディ、2ボギーの「66」とスコアを伸ばし、通算11アンダーでホールアウト。カン・スン(韓国)と並ぶ、首位タイへと浮上した。
「ショットの調子は全然良くなくて、ずっと不安のままやっていた。ノリでやった感じです」と岩田は言う。「情けないのと、我慢できたっていうのと両方です」。
この日の総括をかみ砕こう。
本人が選んだこの日のベストショットは2番(パー5)の第3打だ。グリーン右手前のラフから、バンカーを越えた先にあるピンまでの23ydを、ロブショットで10cmにピタリとつけた。「あとで風が吹いてくると思ったので、バーディが先に欲しかった。右に外すと難しいし、良かったと思う」。このバーディで火が付いた。
ショット自体は、朝の練習場から「ひどかった」という。だが、4番で2mのバーディパットを沈めると、6番(パー5)は残り239ydを4Iで2オン狙い。「クソみたいなショット」とダフリ気味に低く出たが、これがピン手前3mについてイーグル奪取。続く7番(パー3)で7m、その後も9番2m、10番7mと魔法のように次々とバーディパットがカップに消えた。
気がつけば、リーダーボードの一番上にHiroshi Iwataの文字。だが、さすがに一筋縄では終わらない。後半に入ってショットがにわかに乱れだし、フェアウェイキープはわずか3ホールに落ち込んだ。
耐える時間は続く。11番でこの日初めてのボギーを叩くと、13番は1Wが左に曲がり、最後はアプローチを1mに寄せる綱渡りのパーセーブ。14番(パー5)はラフ、バンカーと渡り歩きながらも、かろうじてボギーに収め、15番は2mのパーパットをねじ込んだ。
12番(パー3)で3mのバーディパットを外しては天を仰いで悔しがり、13番はきわどいバーセーブに「ふぅー」と大きく一息。確かに岩田は戦っていた。
後半に2ボギーを叩いたが、16番で8mのバーディパットをど真ん中から放り込み、首位に並んでホールアウト。18番グリーン脇で岩に砕ける波しぶきが、この日の激しいラウンドを象徴しているかのようだった。
先週ツアー通算2勝目を飾った松山英樹に、触発されたかのような日本人選手による好プレー。その日、練習ラウンドをしていたという岩田は、スマホで1打1打をチェックしていたという。
「相性が良いコースだし、勝つんだろうなと思ってずっと見ていた。パターが何mとか、勝ったと思ったらファウラーが入れたとか…」。後輩の優勝に刺激を受けないはずはないが、「英樹とはレベルが違う」と苦笑いで否定する。「精神的にも、頭の使い方とか、ショットの精度も、体も違うし、尊敬していますよ」という岩田。「勝っているのは“色の黒さ”くらいです!(笑)」。(カリフォルニア州モントレー/今岡涼太)