松山英樹、粘り腰でカムバック 見据える「ワンチャンス」
「いつかはうまくいくと思っていた」と松山英樹はさらりと言った。PGAツアー今季最終戦「ツアー選手権byコカ・コーラ」の2日目。1アンダーから出た松山は、10番までに4つスコアを落としながらも、以降は2バーディ、ノーボギーで盛り返して通算1オーバーでホールアウト。順位は11位から12位へと1つ下げたが、粘り強く、傷口を最小限に抑えた。
初日の平均ストロークは「69.894」で、2日目は「71.607」。朝からしとしとと降り続いた雨がコースの難しさを高め、選手たちのスコアの伸びを鈍らせた。
松山も序盤はティショットに苦しんだ。1Wを振り続けた前半、1番は木がスタイミーとなる右ラフにつかまってボギー発進。4番、5番はそれぞれ右と左のラフからパーオンできず、6番(パー3)は3mに寄せたパーパットがカップに蹴られて3連続ボギーとした。その瞬間、松山の顔に浮かんだのは、怒りではなく苦笑い。「ちょっと腹は立ったけど…。うまく、最後まで集中力を切らすことなくできたと思う」と、序盤から4つのボギーが先行したが、気持ちのコントロールはできていた。
9番(パー5)では、3打目をグリーン奧のギャラリーの間に打ち込んだが、そこからのアプローチは、最後のひと転がりでカップに落ちて満場の拍手を浴びた。「バミューダのラフからチップインというのはなかなかなかったので、嬉しかった」。この日、初めてのバーディとした。
10番も1Wが右ラフにつかまってボギーとしたが、転機となったのは12番。この日、パー3を除くティショットで1W以外を握ったのはこの1ホールだけ。3Wでフェアウェイに置くと、「ちょっとしたことだけど、こういう感じかなというのがつかめた」と覚醒した。以後の5ホールでは、フェアウェイをとらえ続けた。
小技の冴えも、勢いを下支えした。13番では2打目がグリーン手前のバンカーのアゴに突き刺さったが、左足をバンカー外に出す窮屈な体勢から、ほぼ真上に球を上げて12yd先のピンそばにぴたり。「あれは獲れると思っていた」と、松山は冷静だった。
14番、16番でバーディを奪い、17番、18番もあと一息でバーディという良好な流れでフィニッシュ。「しっかりと伸ばして、ワンチャンスあるくらいの位置に持っていけたらいい」。首位と10打差で迎える今シーズン最後のムービングデーに注目だ。(ジョージア州アトランタ/今岡涼太)